ニックネーム:タキガワ
みてません
先生。
改札の向こうで、背の高い女が呼んだ。骨も筋もすべてが太く、がっしりと立って、僕を見下ろしている。てろんと足首まで覆うワンピース姿で女だと判断しただけで、実際のところは男なのかもしれない。壁みたいな質感のカラダだとおもった。
昼下がりの田舎の駅はしずかで、誰もいない。ベンチのしたで猫がぐだっと伸びている。曜日の感覚を失いそうだ。
きびきびと笑顔を浮かべ、女は名乗った。毎年入学してくるような、しかも数年に一度は教室内でも重複しそうな苗字だった。
ひさしぶりだね。あの頃の友達とはまだ、会ったりするの?
探りを入れてみたが、女は上げた口角をすこし震わせただけで、何も答えない。僕は、女から目を逸らせながら、指に挟んだ切符を弾く。うごかない空気と汗とが皮膚を覆う。
――。
息を呑むような音がして、僕は女を振り返った。女は僕に目もくれず、ベンチから這いでてきた猫を眺めていた。女と猫は、空虚で底のしれない表情がよく似ている。
猫がみじかくなくと、女は胸元の合わせ目へ手を差し入れた。丈のながい着衣が風を孕んでそっとふくらむ。臍のあたりに扇風機でも仕込んでいるのか。どう考えても、風は女から吹いてくる。
波打つ裾が、猫のあごの毛を撫であげる。
僕が瞬きをしている間に、猫は消えていた。女の服が舐めとっていったかのように。
ゆっくりと、女の指が腰紐をほどいてゆく。
女の中心には窓がある。次第に強くなる風に、無気力に軋んでいる。女の羽織ったカーテンが靡く。
女に聞かせたい言葉があるが、喉がカラカラにはりついて声にならない。
僕は、なにも、
「猫」と「教室」と「カーテン」で、超ショート小説!
ID:38_10885
UPDATE:2009/07/06





UPDATE:2009/07/06
みたな。
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