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2012年02月04日(土)放送

自分で治す!腰痛

腰痛を自分で治す!3か条 ① "運動"で治す!

  • 腰痛の原因は特定できないことが多い
    画像検査で異常が認められるなどで腰痛の原因が特定できるものは約15%。残りの85%は、画像検査をしても明らかな異常がみられません。原因が特定できないと不安に思ったり、対処法がないとあきらめる方も多いのですが、腰痛の場合、「危険な腰痛」の可能性さえ除外できれば、原因を特定することはそれほど重要なことではありません。
    原因が特定できなくても、さまざまな可能性を考えて多角的に治療することによって、腰痛の改善は十分期待できます。
  • 腰痛は動いて治す!
    腰痛になった場合、以前は「安静にすることがよい」とされてきましたが、最近では「動ける範囲で動いた方がよい」というのが腰痛改善の新常識となっています。
    腰痛の患者さんは、動くことに不安や恐れがあるので体を動かさない状態に陥りがちです。すると神経が過敏になり、より痛みを感じやすくなるという悪循環に陥ります。神経が過敏になる原因としては、体を動かさないことで脳に入ってくる情報が少ないと、神経の感受性が高まるためだと考えられています。また、動かないことで腰まわりの筋力が低下すると、腰の骨の適度な湾曲が保てなくなり、腰痛が起きやすくなります。
  • 腰痛になってすぐに動いても大丈夫?
    腰痛には、発症してすぐの「急性腰痛」と、発症から3か月以上経った「慢性腰痛」があります。急性腰痛の場合でも、運動をしても症状が悪化したり、長引いたりすることはありませんが、急性期に運動をすることで早くよくなるというデータはありません。ただし、急性腰痛の場合でも、安静にしていた人より、痛くても動いていた人のほうが、職場復帰が早いというデータがあります。腰が痛ければ腰に負担をかけないようにしながら、なるべく普段の生活を心がけましょう。また、慢性腰痛になったら、積極的な運動がすすめられます。
  • どんな腰痛でも運動で改善する?
    腰痛を引き起こす原因はさまざまですが、多くの場合、体を動かすことで改善が期待できます。ただし、一部の「危険な腰痛」は運動では改善が期待できず、病院での治療が必要になります。癌の既往や、全身の発熱を伴う場合、膀胱(ぼうこう)や直腸などに違和感を伴う場合などは注意が必要です。
    危険な腰痛の目安の一つは「安静にしていても痛いかどうか」です。一般的な腰痛の場合、動けば痛いのですが安静にしていれば痛みは治まります。安静にしているにもかかわらず腰が痛い場合は、危険な腰痛のおそれがありますのですぐに病院を受診して検査を受けてください。

自分でできる!おすすめの体操

  • 1 上体を反らすストレッチ
    腰の関節と筋肉を後ろに動かすストレッチです。うつ伏せになり、両手は顔の横に置きます。
    両腕で支えながら、ゆっくりと上体を起こして腰をそらし、5秒間静止して元にもどします。
    (体操の効果)
    縮んでしまいがちな、おなかや腰まわりの筋肉を使い、腰の関節の動きをよくします。

  • 2 ひざを抱えて胸に引き寄せるストレッチ
    あおむけになり、ひざを抱えて胸の方へゆっくり引き寄せて、背中をできるだけ丸めます。
    背中が伸びるのを感じながら、5秒間静止して、あおむけの状態にもどります。
    楽にできるようになったら頭もひざに近づけるように起こしましょう。
    (体操の効果)
    腰の筋肉を伸ばすと同時に腰の関節の動きをよくします。

  • 3 腹筋を強化する筋トレ
    あおむけに寝て、両ひざを軽く立てます。
    息を吐きながら、おへそを見るように上体をゆっくり起こします。
    5秒間静止してからゆっくりと上体を下ろします。
    (体操の効果)
    腰まわりが不安定だと痛みが出やすいので、腰まわりの筋肉を強くすることで、腰を安定的に支えられるようにします。

  • 4 背筋を強化する筋トレ
    うつ伏せになり、おなかの下にタオルなどを畳んで入れます。
    あごを引き、息を吐きながらゆっくりと上体を持ち上げます。
    5秒間静止して、ゆっくりと下ろします。
    (体操の効果)
    腹筋だけでなく背筋も鍛えることで、バランスよく腰を支えられるようにします。

  • 5 スクワットによる全身運動
    足を肩幅に開き、つま先を外に向けてハの字に開きます。
    ゆっくりとひざを曲げ、元に戻します。
    ひざに痛みが出る場合は、ゆっくり曲げたり、曲げる角度を小さくして、痛みが出ない範囲で行いましょう。
    (体操の効果)
    太ももの大きな筋肉を使うことで、全身運動になります。
    体力にあわせて、ひざを曲げる角度や回数を調節してください。

※転倒を防ぐため安定した机などのそばで行ってください。

  • 回数の目安は?
    ストレッチであれば10回ほど。筋力トレーニングやスクワットの場合は、年齢や体力によって目安は変わってきますが、高齢の方は20回、若い方は50~100回、1日2~3セットが目安です。最初は回数にとらわれずに少ない回数でも構いません。少なくとも3か月は続けてみてください。

腰痛を自分で治す!3か条 ② "生活"で治す!

ボランティアで重い荷物の運搬を行ったことがきっかけで、思いがけず症状が改善したという方のケースを紹介しました。はじめは、腰に不安がありましたが、作業を続けるうちに、思いがけず、痛みが和らいできたのです。体を動かすことが腰痛を改善したと感じ、今は医師のすすめで、毎日20分のウオーキングを続けています。物を運搬する作業が無意識のうちに全身運動になったこと、またボランティアをやりとげて自信がつき、その後の生活でも積極的に体を動かせるようになったことが腰の痛みを軽減させたと考えられます。

  • 日常生活での注意点
    ◆物を持ち上げるとき
    ひざを伸ばしたまま床に置いてある物を持ち上げると、腰を痛める原因になります。床に置いてある物を持ち上げるときは、ひざを曲げてなるべく体に引き寄せて、勢いをつけずにゆっくりと立ち上がりましょう。

  • ◆座るときの姿勢
    骨盤が上を向くような、浅く腰掛ける座り方は、腰の骨が後ろに反れるので、腰に負担がかかります。腰に負担の少ない座り方は、立っているときと同じで、腰の骨が適度な湾曲を維持できるような座り方です。背中と背もたれの間にタオルを入れると適度な湾曲が維持しやすくなります。

  • ◆寝るときの姿勢
    マットレスは、軟らかすぎても硬すぎても腰に負担がかかります。腰の骨が適度な湾曲を維持できるような低反発マットがおすすめです。低反発マットがない場合は、ひざの下に枕などを入れると無理なく腰の骨の適度な湾曲を維持しやすくなります。

腰痛を自分で治す!3か条 ③ "考え方"で治す!

  • 腰痛には"心"も影響している
    腰痛は、関節や筋肉など「体」の問題だけだと思いがちですが、実は「心」や「社会・環境」の問題も大きく影響しています。ストレスや怒り、不安、抑うつなどがあると、痛みに対して過敏になることがわかっています。
    現在の腰痛治療では、整形外科医だけでなく、精神科医や理学療法士などによる多角的な治療が重要だと考えられています。
  • 心理的な要因が強い場合の治療
    精神科医などがしっかり話を聞きカウンセリングを行います。痛みに対する恐怖が活動性を下げることにつながるので、「こんな動きをしても大丈夫ですか?」といった質問に対しても十分に話を聞いた上で、「大丈夫ですよ」と繰り返し説明するなどして安心してもらいます。
    気分が落ち込み抑うつ状態になっている場合は、抗うつ薬などを処方します。
  • 腰痛が長引きやすい考え方の例
    慢性化している腰痛のなかには、心理的な影響が大きいものもあります。例えば、腰痛の治療のために、いろいろな病院をまわっているうちに、病院巡りがひとつの生きがいのようになってしまい、知らず知らずのうちに「痛みにこだわりすぎる」ようになってしまう状態です。
    また、知らず知らずのうちに腰の痛みが、家族との「コミュニケーションの道具」になってしまうこともあります。
  • "考え方の癖"を修正する方法
    腰痛が慢性化しやすい"考え方の癖"があるので、医師と一緒に考え方のトレーニングをして、ストレスの少ない考え方に変えていきます。

    例えば、① 「車を運転していて痛みがひどくなった」という状況があった場合、そのときの気持ちを② 「がっかり(60点)」だとします。その気持ちになった理由としては、③ 「つらい。どうしても痛みが出る。痛くて何もできないと思う」と考えたからです。
    このときに前向きに対処できる考え方をさがしてみますと、例えば、④ 「確かに痛みはひどかったが、今は少しましになっている。痛みはあるが、楽しみなドラマを見よう」などと考えるようにしてみます。
    すると、気持ちも少し変わります。やはり痛みがあるので⑤ 「がっかり(40点)」ですが、最初の60点と比べると楽に考えられるようになります。

    こういった考え方のトレーニングを医師と何度も繰り返していきます。

腰痛の治療薬

痛みが強すぎて動けない場合などは、薬の力を借りて痛みを抑えた上で、できるだけ運動療法を行っていくことが大切です。

腰痛の急性期と慢性期では、主に使用する薬が異なります。急性期は、NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)、慢性期は、NSAIDsが効かなくなることも多く、その場合は抗うつ薬や抗てんかん薬、オピオイドなどが使われます。抗うつ薬は、うつ病に対する効果とは別に痛みを軽減する作用が確認されており、痛みが伝わる神経を抑えこむ作用があり、同様に抗てんかん薬も、てんかんに対する効果とは別に、神経の異常な興奮を抑えて、痛みを軽減する作用が確認されています。オピオイドは医療用麻薬で、強い痛み止めの作用があります。

副作用としては、NSAIDsは「胃腸障害」、抗うつ薬は「眠気」、抗てんかん薬は、「ふらつき」、オピオイドは、「便秘」や「吐き気」などです。オピオイドは、依存の恐れがありますので、医師の指導のもと正しく使用する必要があります。

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