頑固なコリの真犯人!“慢性痛”徹底対策22009年03月04日放送
このページを印刷する
頑固なコリの真犯人!“慢性痛”徹底対策2

なぜか長引く痛み「慢性痛」。中でも、多くの方が悩んでいる、肩・首・腰の痛み。それってただのコリじゃないの?……と思ったら大間違い!

温めてもよくならない、もんでも治らない……

普通のコリならば、もんだり温めたりすれば治るはずです。それでも治らない場合は、コリではなく慢性痛の可能性があります。しかも、痛い場所には異常が何もないこともあるのです。いったいそれはなぜなのか? 痛みの不思議な正体や、治療法などをご紹介します。

「コリゃびっコリ」

もんでも温めても治らないコリのような痛みは、何が原因なのでしょうか? 長引く痛みに悩む、慢性痛の可能性がある人の体を調べてみると、普段痛い場所とは別のところに、触ると“コリコリ”するものが潜んでいることがわかりました。しかもそれは別の場所にあるのに、押すとなぜか普段痛む場所に激痛が走るのです。

押された場所と、痛む場所が違う

押した場所と別の場所に痛みを引き起こす“コリコリ”こそが、慢性痛とただのコリを分けるものだったのです。肩、首、腰などの痛みの中で、コリコリがある場合は慢性痛の疑いがあります。

「ここに痛!コリコリの正体」

ガッテン特製コリコリ養成ギブスで、一時的に体にコリコリを作りました。コリコリを探し当てると、そこから電気が発生していました。

コリコリの正体は、神経の異常興奮だったのです。神経が異常に興奮した部分の周りの筋肉がしこり状になったものが、手で触るとコリコリするのです。

コリとコリコリの違い

コリコリは専門用語で「トリガーポイント」と呼ばれます。トリガーとは「引き金」の意味です。では、このトリガーポイントはなぜできるのでしょうか? そして、何に向かって引き金を引いているのでしょうか?

無理な姿勢などをとることで、筋肉に過度な負担がかかり、血行不良などが起こって、筋肉がこわばってしまうのが“コリ”です。コリは、もんだり温めたりすると治ります。

一方、コリコリ(慢性痛)の場合。筋肉に異常が起こると、神経から脳に信号が送られ、脳は異常を起こした場所を「痛い」と判断します。

無理な姿勢を続けるなど、慢性的に筋肉に異常が起こっていると、神経がずっと痛みの信号を送り続けることになります。すると異常興奮状態がおさまらなくなり、トリガーポイントを生み出してしまいます。

トリガーポイントは引き金を引いて信号を脳に送り、コリとは別の、「トリガーポイントによる痛み」を生じさせることになります。こうなると、筋肉をもんだり温めたりすると、コリの痛みは取れますが、トリガーポイントによる痛みはとれないのです。

しかも、大きな刺激を受けたり、慢性化が進んだ場合は、トリガーポイントはさらに激しい興奮状態になり、痛みの信号を連射します。すると、たくさんの信号を受け取った脳は混乱状態におちいり、脳は、信号がきた場所を間違って判断してしまいます。その結果、本当に痛む場所とは違う場所を痛いと感じてしまうのです。

「もんでも温めても治らない頑固なコリ」と思っていた痛みのほとんどは、脳の錯覚の痛み、つまり「幻」だったのです。

「トリガーポイントをほうっておくと…」

トリガーポイントは実にやっかいなものですが、これができてしまうと、コリのような痛みを引き起こすだけでは終わりません。

トリガーポイントをほうっておくと、日常の動作だけで激痛を引き起こします。また、トリガーポイントを中心に筋肉がこわばってしまうため、筋肉につられて骨格までが変形してしまうほど悪化することもあるのです。

さらに恐ろしいケースがあります。ある女性は、はじめは軽い腰痛を感じる程度でしたが、いまでは上半身全体の痛みで腕があがらぬほどになってしまいました。

その理由は、ほんとうは幻の痛みだったはずの場所に、実際に筋肉収縮が起こり、新たなトリガーポイントができていたのです。つまり、トリガーポイントがトリガーポイントをうみ、痛む箇所が広がっていくことがあるのです。トリガーポイントの場所を、早めに、しかも正確に見つけることが大切です。

※トリガーポイントの見つけ方は後述します。

「トリガーポイントの治療」

慢性痛の症状が進んでしまった場合、治療してくれる診療科があります。

痛みの診療科「ペインクリニック(麻酔科)」では、トリガーポイントに麻酔注射をうつ「トリガーポイントブロック」という治療法をおもに行っています。これによって、痛みがとれるだけでなく、筋肉の緊張もほぐれ、血行も良くなるという効果があります。

なぜ麻酔をしただけでよくなるの?

トリガーポイント注射の効果は3つあります。

  1. 痛みそのものをとる。
  2. 自律神経が興奮して血行を悪くしているため、それを鎮める。
  3. 痛み物質が作られて筋肉をこわばらせているため、それを洗い流す。

「痛みがある→血行が悪くなる→筋肉がこわばる」という悪循環ができてしまっているので、麻酔によってその輪を絶つことで、慢性的な痛みがとまるのです。

Q & A

  • 治療頻度について:
    1回の治療でも効果はありますが、それだけでは痛みがぶりかえす場合があります。症状の程度にもよりますが、週1回の治療を5回くらいは続けるのがよいでしょう。
  • 治療費用について:
    トリガーポイント注射は保険が適用され、1回800円程度です。ただし、そのほかに、診察料などがかかります。
  • 注射は痛い?:
    トリガーポイント注射の針は、血管注射に比べて細いため、それほど痛みはありません。
  • 注射以外に治療法はある?:
    トリガーポイントへのハリ治療が効果的な場合があります。
  • 自分が慢性痛かただのコリか、もしくは全然違う病気かわからない場合:
    ペインクリニックで痛みの判別をしてもらえます。
    ※内臓疾患やヘルニアなど、別の病気からトリガーポイントができることもあります。元になる病気があるなら、それを治すのが先決です。
    ※参考:日本ペインクリニック学会のHPに、痛みの治療を行っている医療機関の一覧があります。
    http://www.jspc.gr.jp/06_shisetsu.html

「トリガーポイントの見つけ方」

トリガーポイントは、コリを覚えているほとんどの方にあるといってもよいくらいです。

トリガーポイントを見つけるコツ

  • 普段痛い部分以外も触ってみる
    痛いところにトリガーポイントがあるとは限りません。肩が痛む人のトリガーポイントが腕の付け根にあることも多くあります。
  • 大きさがパチンコ玉からウズラの卵くらいのコリコリを探す
    まっすぐ押すだけでなく、骨の裏などに隠れている場合もあるので、ななめなどからも押してみてください。
  • 首や肩の痛みの場合の代表的なトリガーポイントの位置は、肩甲骨(けんこうこつ)に沿った部分です。
    図「首や肩の痛みの場合の代表的なトリガーポイントの位置」
  • 腰の痛みの場合の代表的なトリガーポイントの位置は、背中の真ん中、そしておしりのふくらみの上です。
    図「腰の痛みの場合の代表的なトリガーポイントの位置」
  • 押したとき、痛みがほかの場所にも広がれば、トリガーポイントの可能性が大きい

見つけにくいところにあったり、コリコリした触感がわかりにくい場合もあります。ここで紹介したのはあくまでも「代表的な位置」です。まったく別の場所にあることも考えられます。一方、痛みの原因がトリガーポイントではなく、他の疾患にある場合もあります。自分でわからなかった方は、ペインクリニックなどの受診をお勧めします。

トリガーポイントをみつけたら

  • ほぐす
    トリガーポイントがある筋肉はこわばっています。トリガーポイントを中心に、筋肉をやさしくなでるようにさわってほぐしてください。
  • ストレッチ
    トリガーポイントがある筋肉をゆっくりのばします。たとえば、肩甲骨にトリガーポイントがある場合は、肩甲骨を広げるような(両肩を前に出すように丸める)ストレッチをします。

※注意:トリガーポイントを探す場合も、もんだり、ストレッチをする場合も、優しく行ってください。強すぎると逆効果になる場合があります。