
冬に猛威を振るうインフルエンザ。今年は例年より早いペースで流行が始まっています。今年は4年ぶりの大流行になるのではないかと言われています。
そこでガッテンが、緊急生放送でインフルエンザ対策を大公開! これまでガッテンでお伝えした情報に、最新情報を加えてお送りします。
「インフルエンザ見極めの落とし穴」
普通の風邪とインフルエンザの違いは、どう見極めればよいのでしょうか? 街頭アンケートを実施したところ、9割の方が「38度以上の高熱が出たらインフルエンザと判断する」と回答しました。たしかに、インフルエンザウイルスの増殖力は普通の風邪ウイルスよりも強く、体は高熱を出して対抗するとされています。
しかし近年、診断キットが普及した結果、高熱が出ないインフルエンザがあることがわかってきました。日本臨床内科医会の調べによると、38度を超える高熱が出なかったにもかかわらずインフルエンザだと診断された人は、成人では2割、高齢者では5割近くにものぼるというのです。
お住まいの地域でインフルエンザが流行していて、風邪のような症状がある場合は、高熱が出ていなくても病院で検査を受けることをおすすめします。高熱が出なくても、肺炎などに重症化する可能性はあります。ただし、インフルエンザ診断は、発症から6時間以上経過しないと、正しい検査結果が出ないことがあります。少し様子を見てから検査を受けるほうが確実です。
インフルエンザでも、高熱が出ないことがある
一般的に、インフルエンザウイルスの増殖を食い止めようとして、人間の体は高熱を出して対抗すると言われています。なぜインフルエンザに感染しても高熱が出ない場合があるのか、はっきりとしたメカニズムは分かっていません。個人の体質や免疫力の違いによると考えられます。
ただ、高齢者の場合は、反応力が弱まっており、発熱する力が残っていないために、高熱が出にくいとも考えられています。
現在流行しているインフルエンザウイルスは、Aソ連型(患者全体の6割)、A香港型(3割)、B型(1割)(09年2月上旬のデータ)。昨年12月までは重症化しやすいA香港型が多かったものの、現在は小学生や幼児に流行しやすいAソ連型が過半数を占めています。
12月にA香港型に感染した人が、今度はAソ連型に感染する可能性や、その逆もありうるので、要注意です!
なお、インフルエンザワクチンは3種類のウイルスのワクチンが混合されているので、何度も打つ必要はありません。2度打つ場合があるのは、確実に免疫力を上げるためです。
「タミフルは効くの?効かないの?」
インフルエンザウイルスは、細胞内に侵入すると、そこで自分を増殖させます。さらに、自分が持っている“ハサミ”を使って細胞の外へ破り出ます。タミフルは、このハサミの刃をブロックする薬であって、ウイルスそのものを殺すものではありません。
ウイルスの増殖を抑えるだけでも、1~2日で熱は下がり、回復に向かいます。
今年はタミフルが効かない耐性ウイルスが出現したと報道されていますが、その理由は、現在およそ流行の6割を占めているAソ連型のウイルスが持っているハサミの形が変わり、タミフルがブロックしにくくなってしまったためです。A香港型とB型はハサミが変わっていないので、依然としてタミフルの効果があります。
吸入式の特効薬リレンザは、現在のところ、3種類のウイルスどれにも効果があるとされるので、リレンザを服用できる場合は、そのほうが効き目は確実です。しかし、吸い込む力の弱い幼児や高齢者には使いにくい場合があり、医療機関によってはリレンザが手に入りにくい場合もあります。そうした場合には、タミフルの服用も有効な手段です。治療の現場では、タミフルが効きにくいはずのAソ連型に感染した患者さんにタミフルを投与したら、効き目があったという実例もあります。
タミフルもリレンザも、発症してから48時間以内に服用することでウイルスの増殖を抑えられます。
タミフル・リレンザと異常行動との関係
薬の服用と異常行動の関連については、まだ明確になっていませんが、薬を飲む・飲まないにかかわらず、インフルエンザにかかると、一部の人には幻覚などの症状が現れます。薬を飲んでいなくても、発症から48時間くらいは注意深く観察が必要です!
※厚生労働省では、現在タミフルの10代への使用を原則禁止しています。
「家庭内感染を防げ!」
高速度カメラで撮影したくしゃみの映像を専門家に分析していただくと、くしゃみの飛まつは空気中に放出された直後から水分が乾燥して、直径が10分の1に縮小し、「飛まつ核」になることがわかりました。
また、1回くしゃみをすると、60万個以上の飛まつ核が長時間浮遊し続けることもわかりました。ウイルスは長時間生きたまま空気中を漂い、感染拡大すると考えられるのです。
感染拡大はどうすれば防げるのでしょうか。東京都老人医療センターではインフルエンザ患者専用の病室を設けて、インフルエンザの院内流行を防いでいます。家庭内でも、患者を隔離するなどの慎重な対策が望まれます。
ウイルスは空気中でも長時間生きている!
ある研究者は、およそ5000万個のウイルスを特別な装置を使って飛まつ核にして、クリーンルームに放出する実験を行いました。数時間ごとにその空気を回収し、ウイルスの生存量を計測したところ、直後では600万個、3時間後には120万個、9時間後に5000個のウイルスが生きていることが明らかになりました。
自宅で感染拡大を防ぐ対策のポイント
- 基本的には患者さんを隔離し、健康な人との無用な接触を避ける。
- 患者さんがいる部屋の定期的な換気を心がける。
- 看病役をワクチン接種した人など1人だけに限定し、看病する人もマスク・手洗いを徹底する。
- 熱が下がってもウイルスはまだ体内にいるため、感染拡大を防ぐためには、投与されたタミフルやリレンザは、熱が下がっても飲みきる。
感染を薬で予防する
感染予防の目的で、タミフルやリレンザを処方してもらうことも可能です。ただし、予防目的での処方が認められているのは、
- 65歳以上、または糖尿病・腎臓病などの疾患がある方
- 身近にインフルエンザにかかった人がいる
という2つの条件を満たした場合に限られています。
予防目的で服用する場合は、治療の場合の半分の量(1日1カプセル)を7~10日服用し続けます。また、薬の予防投与には保険は適用されず、自己負担になります(医療機関によって異なりますが、数千円程度)。
ウイルス感染は防御機能を破壊する!
電子顕微鏡で鼻からのどにかけての粘膜を見ると、「線毛(せんもう)」という細かい毛がたくさん生えています。これが素早く動くことで、ウイルスや細菌などの異物を運び出し、感染を防いでいるのです。しかし、インフルエンザに感染すると、その線毛が破壊され、はがれ落ちてしまいます。すると、さまざまな病原菌が感染しやすくなってしまうのです。
インフルエンザが重症化して亡くなる方は、インフルエンザそのもので亡くなるというよりも、同時に細菌性の肺炎などに感染して亡くなる方が大多数です。
ウイルス感染によって破壊された線毛が回復するには時間がかかるため、インフルエンザが治っても、しばらくは感染症への注意が必要です。
とくに高齢者の場合は、肺炎を予防するワクチン(肺炎球菌ワクチン)もあるので、事前に接種しておくのもひとつの方法と言えます。
肺炎球菌ワクチンについて
肺炎球菌ワクチンとは、重症化しやすい肺炎の原因となる「肺炎球菌」の感染に備えるものです。
1回接種すると5年以上免疫効果が持続するとされていますが、安全性のため、日本では一生に一度しか接種が認められていません。また、数に限りがあるため、接種を希望される方はお近くの医療機関に接種が可能かどうかご相談下さい。
「発症率が10分の1に!意外な予防法」
東京都府中市の介護保険施設では週1回、歯科衛生士が口腔ケアを実施しています。日頃からの丁寧な歯磨きや舌磨きの指導を行ったところ、インフルエンザの発症率が10分の1に激減したのです。
なぜ口の中をきれいにしておくと、インフルエンザにかかりにくくなるのでしょうか? メカニズムは次のように推定されています。鼻からのどにかけての粘膜はタンパク質の膜で覆われているため、ウイルスはなかなかくっつくことができません。ところが口の中の細菌が出す「プロテアーゼ」という酵素が膜を破壊することで、ウイルスがくっつき、細胞内に侵入できるようになると考えられるのです。
口の中には、インフルエンザウイルスの感染を助けると考えられる細菌以外にも、唾液に混じって気道に入り、重症の肺炎を引き起こす細菌なども多く住み着いています。そのため、日頃から口の中をきれいに保ち、細菌を除去しておくことが、幅広く危険な感染症を予防する対策として有効なのです。
口の中の細菌を減らす口腔ケアのやり方
- 基本は、普通の歯磨きを丁寧にやるという感覚で。
- ペンを握るように軽く歯ブラシを持ち、歯ブラシの面を歯の表面に垂直に当てる。
- とくに歯と歯のすき間、歯と歯肉の境目に住み着く細菌を掻き出すイメージで、力を入れすぎず、小刻みに歯ブラシを動かして磨く。(歯間ブラシを使うのも効果的)
- 舌の上にも非常に多くの細菌が付着しているので、歯ブラシを舌の表面に優しく当てがい、奥から手前に向かって力を入れずに動かして、舌の表面を磨く。(痛い場合は、歯ブラシをガーゼでくるむか、市販の舌ブラシを使うのもよい)
- 最後にうがい液などで頬の内側など、口の中全体をしっかりうがいして、細菌を洗い流す。

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