
年間1万4千人もの人が死亡するという「入浴事故」。事故のほとんどが冬場に発生することから、「浴室が寒く湯温が高いと、血圧が急上昇 → 心筋梗塞(こうそく)や脳卒中が起こる」ことが主な原因、と考えられてきました。
しかし最新の調査で、このことが原因とハッキリ言えるケースはわずか1割程度で、実は、1万人を越える人達が、不思議な“謎の溺死(できし)”をしているのではないかということが浮かび上がってきました。
“謎の溺死”の正体とは? そしてこれを未然に防ぐ安全で快適な「ガッテン流の入浴法」とは? このほか、最近話題の“加齢臭”を超簡単に防ぐ裏技もご紹介します。
「新事実! 謎の溺死(できし)とは?」
今回、番組で紹介している“謎の溺死”とは、「肺にほとんど水が入っていない」状態で、湯船で亡くなることを指しています。実はこの“謎の溺死”が、入浴事故の大半(推定1万人以上)を占めるらしいということが最新の調査で分かってきました。
番組では、熱風呂が好きという3組のお父さんたちを取材しました。彼らが好む温度は42.5~47℃とまちまちでしたが、この中に謎の溺死を起こしやすい湯温があります。危険なのは、どのタイプでしょうか?
※番組では湯の温度が47℃の銭湯を紹介しましたが、この銭湯では十分に安全管理をしたうえで、この入浴法をとっています。これほど熱い風呂の場合、血圧が上がり、心筋梗塞や脳卒中を引き起こす場合があります。絶対に家庭では真似をしないでください。
なぜ、熱い風呂だと「病みつき」になるのか?
ある調査によると、47℃の熱い湯に入った人の血液を調べると、「β-エンドルフィン」という物質が増えていました。これは脳から分泌されるモルヒネの一種で、脳内麻薬とも呼ばれています。温度47℃の銭湯の常連客が「病みつき」になったと証言しているのは、このためだと考えられます。
一方、42℃の入浴では「β-エンドルフィン」の増加は確認できませんでした。
謎の溺死の可能性が高いのは「42~43℃」
入浴事故が起こった際の湯温を調べた研究結果によると、最も死者が多いのは、42~43℃であることが分かりました。
「42℃での入浴で起こる不思議な体内変化」
ちょい熱の42℃の湯に浸かったとき、体に何が起こっているのでしょうか? 38℃と42℃の2ケースで実験を行いました。38℃では入浴直後から血圧が低下したのに対し、42℃では、反対に血圧が上昇しました。これを「驚(きょう)がく反応」と言います。
驚がく反応はなぜ起こる?
驚がく反応は、目安として42℃以上の熱い湯に入った直後に起こります(ただし、驚がく反応を起こす温度には個人差があります)。湯に入った直後、体が熱さにびっくりして末梢の血管が収縮、血圧が上がります。これが引き金となり、脳卒中や心筋梗塞が起こることもあります。
しかし、これらは入浴事故による死因の1割程度です。
42℃での入浴で血圧はどうなるか?
驚がく反応を起こすと、血圧は上がった後、今度は下がり始めます。実験では、血圧は入浴してから8分後まで、ずっと下がり続けました。38℃での入浴との血圧(最高血圧)の差は、最終的にはおよそ20にもなりました。42℃での入浴は、血圧を異常なまでに低下させてしまうのです。

42℃で血圧が下がりすぎてしまう理由は2つあります。
- 驚がく反応による反動。いったん血圧が上がると、人間の体は習性として血圧を下げようと働きます。このとき、血圧を下げすぎてしまうことがあります。
- 42℃で入浴したとき、体は真っ赤になります。これは皮膚の近くの血管が大きく開き、血液が集まっている証拠です。末梢の血管が開くと、血液が体の隅々まで流れやすくなるため、血圧が下がります。
血圧が下がりすぎた結果、何が起こるのか?
「異常な血圧低下」が起こると、脳に血液が行きにくくなり、意識障害(失神)が起こる可能性が高くなります。最初は気持ちいいのぼせ感が、やがて意識障害になるおそれがあるのです。「気持ちよくて風呂で寝てしまった」というのは、以上のことが原因という場合もあります。
※最高血圧が100を切ると意識障害が起こる可能性があります
“謎の溺死”の正体!
謎の溺死には、この意識障害が大きく関わっていると考えられます。意識を失った状態で、肺に少量の水が入ったことが引き金となって、そのショックで心臓が止まる……これが「謎の溺死」の正体です。1年間に1万人がこの「謎の溺死」で亡くなっていると考えられています。
専門家の解説「入浴事故を防ぐには?」
まとめると、入浴死のリスクが特に高いのは、以下の人たちです。
- 熱い風呂が大好きな人(驚がく反応等の結果、血圧低下を起こしやすい)
- 動脈硬化のある人(血管にしなやかさがないため、血圧が急上昇・急降下しやすい)
- 高血圧の人(元々血圧が高い人ほど、下がるときの幅も大きい)
- 65歳以上(動脈硬化、高血圧になっている割合が高い)
- 飲酒後に入浴する人(飲酒や食事のあとは、血圧が下がっている)
以上のことから、入浴事故を防ぐには、次のことに注意してください。
- 湯温を40℃以下(驚がく反応を起こさない目安。ただし個人差があります)
- 風呂から立ち上がるときはゆっくりと(急に立ち上がることでも血圧が急激に低下)
- 食後1時間以内の入浴は避ける。
「ぬるめでも大満足! ガッテン流入浴法とは?」
ガッテンでは、湯温40℃で熱風呂好きのお父さんたちにも満足してもらえる、「安全快適入浴法」を編み出しました。ガッテン流入浴法に欠かせない道具は、次の2つです。
- 湯船に浮かべることのできる温度計
※正確な湯温を知るため。500~1000円程度の安価なものでかまいません。 - シャワー
ガッテン流の入浴法
- あらかじめ湯船に40℃の湯をはっておく。
- 仕上げに、湯船に43℃のシャワーを3分間注ぐ。
浴室を湿気混じりに暖めることで、浴室内をより暖かく感じられるようにしました。これにより、浴室に入った瞬間の「寒い!」という感覚を軽減し、「熱い風呂に入りたい」という欲求自体をなくすことに成功したのです。
また、ガッテン流入浴法で40℃の湯に3~5分浸かることで、42℃の時にも劣らない暖まり感が得られました。
【注意】大きな窓のついた浴室やタイルばりの浴室では、ガッテン流入浴法の効果が薄い場合もあります。その際は、窓に断熱の処理を施したり、浴室暖房を設置するなどの具体的な対策が必要となることがあります。一度ガッテン流入浴法をためしてみて、それでも浴室が寒い場合は、別の対策が必要と考えられます。
ガッテン流入浴法はガス代もお得!
42℃で最初から湯をはったケースと、ガッテン流入浴法とを比較しました。首都圏の都市ガスを使った場合、ガッテン流入浴法では毎日5円、年間およそ1800円のガス代が安くなることが分かりました。
「意外! 加齢臭の真実」
ここからは、最近話題の中高年の悩み「加齢臭」についてご紹介します。
加齢臭は、皮膚を覆う皮脂の一種が原因とされています。皮脂がどこから出ているのか詳しく調べた結果、胸と背中の中心付近から特に多く出ていることが分かりました。しかし皮脂には、肌を乾燥から守るという大事な働きもあるため、取りすぎてもよくないのです。
加齢臭の直接の原因は?
加齢臭の直接の原因は、皮脂が古くなって酸化したり微生物に分解されることで出るノネナールという物質です。皮脂そのものからではなく、皮脂が古くなることでにおいが発生するのです。
また、枕がにおう場合もあります。その理由は、頭や耳の後ろ、顔からも皮脂が出るため、この皮脂が枕に染みこみ、時間が経つことでにおうものと考えられます。
加齢臭ラクラク撃退法「朝に1分のシャワー」
加齢臭の簡単撃退法は、わずか1分のシャワーを朝に浴びることです。体をこすって洗う必要はなく、胸と背中に30秒ずつただ湯をあてるだけです。これだけでも、古い皮脂がきちんと減ることが、実験によって確かめられました。
※血圧が高めの人は十分注意してください。
寒くてシャワーを浴びたくないときは、熱めの濡れタオルで胸と背中を30秒ずつ、優しくぬぐうだけでも、シャワーと同等の効果があります。

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