
今夜のテーマは旬の食材「ゆず」。お吸いものや茶わん蒸しなど、特に和食の香りづけに大人気。ところが、皮を使った後の実は、利用法がわからずに捨ててしまう人がとっても多いのだそうです。
そこでガッテンが調査すると、日本一のゆず産地では皮を使わない利用法が主流。さらに、これまでの使い方ではゆずのいい香りをほとんど活かせていなかったことがわかってきました。ゆずの香りを最大限に活かし切る驚きの裏技を一挙公開します。
「大にゅーず!(ニュース)ゆめにも思わなかった、ずごい使い方!」
ゆずといえば、最初に思いつくのが“香りづけ”。そのために、まず薄く小さく皮を削って使うことが多いようです。ところが、それこそが間違いの第一歩だったのです。
日本一のゆず産地・高知県。中でもゆず栽培の歴史が古い北川村では、何と、皮ではなく、果汁がゆずの使い方の主流で、毎日の食生活に欠かせない便利な調味料として使われています。しかも、香りもとてもよいものです。
そこで、街ゆく人々に、「北川村のゆず果汁」と「ガッテンがしぼったゆず果汁」の香りを比べてもらうと、北川村のものが圧倒的に大人気。2種類の香りを分析してみると、3倍以上もの差が出てしまいました。使ったゆずは同じもので、しかもガッテンのゆず果汁はしぼりたてなのに対し、北川村のものは3日前にしぼったものだったのです。
ゆずの香り
そもそもゆずの香りは複雑なものです。詳しく分析すると、ゆずの香りを構成する成分は350種類以上もありました。“ゆずらしさ”を決めるのは、その中にあるごくわずかな香り成分、「重要香気成分」です。
重要香気成分とは、モノの香りの「らしさ」を決めている香り成分です。そのモノによって種類や分量も違い、ゆずのようにごくわずかな量でも「らしさ」を左右するものがあります。
「世界初!ゆー(YOU)をずーっと探してたんだよ!」
これまで長い間、大きな謎とされてきた「ゆずらしさ」を決めている重要香気成分が、最近発見されました。その名は「ユズノン」。ゆず1個に100万分の1グラムしか含まれていませんが、香りはとても強いものです。
そんなユズノンが一体どこにあったのか、立ち上る香り成分を分析してみると、なぜか果汁からも、皮からも発見されませんでした。実は、ユズノンを多く生み出すポイントは「ゆずのしぼり方」にあるのです。
「産地直伝!ユズノン得るノンこうするノン」
高知県・北川村のゆず作り40年のベテラン農家を訪ね、ゆずのしぼり方を見せてもらいました。すると、この家では「ゆずしぼり機」とよばれる道具を使い、皮をつけたまま果実を丸ごとつぶしてしぼっていました。
産地の方すべてが同じゆずしぼり機を使っているわけではありませんが、「ゆずをまるごとしぼる」ことが、ユズノンを得るために重要だったのです。
ところがこの「ゆずしぼり機」は、総ひのき造りのとても立派なものです。もっと簡単にユズノンを手に入れる方法はないのでしょうか?
ユズノンはどこに隠れている?
実は、ユズノンは黄色い皮の中の油胞(ゆほう)と呼ばれるカプセルにだけ含まれていました。したがって、ユズノンを得るには、このカプセルを「つぶす」必要があったのです。だから、果汁や皮から立ち上る香りからは発見できなかったのです。
普通に手しぼりしている瞬間をよく見てみると、ユズノンをはじめとする香り成分が器には入らず、「上」に飛び散っていました。これでは、ゆず果汁には香りがほとんどつきません。
ゆずの正しいしぼり方は「南半球しぼり」
実は、「ゆずの正しいしぼり方」とは、皮を下に、切り口を上にしてしぼることです。ゆずを地球に例えるなら、下半分の「南半球」の向きにしてしぼることが理想だったのです。
こうすると、ユズノンをはじめとする香り成分はちゃんと「下」に飛び散ることになり、香り豊かなゆず果汁が得られます。
「普通にしぼったゆず果汁」と「南半球しぼり」のものを詳しく分析すると、香りに17倍もの差が出ました。香り豊かなゆず果汁は、このひと工夫で手に入れることができるのです。
さらに、ゆずの香りはとても強いため、「南半球しぼり」の後でも、皮には香りがたくさん残っています。果汁を使った後でも、皮はこれまで通り香りづけとして利用できます。しかも、皮は冷凍もできるため、その後も好きな時に好きな量だけ利用できるのです。
なお、香り成分を落とそうとして何度も力強くしぼる必要はありません。キュッとしぼるだけでも香り成分は充分に出ます。
※衛生対策上、念のためにゆずはしっかりと水洗いをしてください。
※南半球しぼりをした後のゆず皮は、常温放置していると新鮮さを早く損なってしまう恐れがあるため、保存用袋などに入れて冷凍保存してください。
「もう1つのゆず香りアップ術!ただ、問題があった…」
ここからは、ゆずの香りをもっと楽しむ術をお伝えします。
すりつぶしたゆず皮から立ち上る香りと、それを口に入れることで鼻から抜ける香りを比較してみると、後者が4.5倍も香りが強いことがわかりました。
香りは、外から鼻の中に入っていく時だけではなく、口の中から鼻を通って外へ抜けていく時のほうが強く感じます。その理由として、口内の熱で香り成分がたくさん揮発することなどが考えられています。この感覚を「レトロネイザル」と呼びます。
ところが、ゆずの皮は食べるととても苦いものです。しかも、ゆず皮の成分を調べると、苦味成分であるフラボノイドが検出されました。ところが、北川村の人たちは、とくに苦みを感じていないのです。これはどういうことなのでしょうか?
「これであなたもゆずユーザー!カンキツ(完結)編」
再び高知県・北川村の料理自慢の方々を訪ね、しぼった後のゆず皮をどう使っているのか見せてもらいました。すると、ゆず皮を「香りづけ」ではなく、ゆず皮のみそ煮、しょうゆ煮など、「食べる」ものとして扱っていたのです。しかも全然「苦くない」のです。
そこで、料理に使用されているゆず皮を見てみると、どれにも黄色い皮の下の「白い部分」がついていました。これが苦み克服のポイントです。
実は私たちが感じていた苦みの原因は、皮の黄色い部分にある油胞に含まれる精油の刺激でした。白い部分は、苦みを和らげるスポンジのような存在です。北川村では、ここに味をしみこませることで、食材としてゆず皮を利用していたのです。実際にゆず皮のみそ煮を食べてみると、苦みは全く感じられませんでした。

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