
みんな大好きな、いなりずし。でも味の好みがバラバラな上、作っても思ったとおりの味にならない不思議な食べもの。そこでガッテンが、あえて「誰もがおいしいと思う究極のいなり」に挑戦します!
「大いなり野望!究極のいなりへの道」
いなりずしは地域によって味や形だけでなく、食べられ方もさまざまです。たとえば、東京のいなりは四角形で、油揚げの味が濃いのが特徴です。大阪や福岡は揚げの色が薄く、酢飯の味が強い上、うどんやラーメンと一緒に食べることが多いようです。
今回のガッテンでは「究極のいなり」を目指しますが、浮かび上がってきた課題は次の2つと言えるでしょう。
- 味の好みがバラバラ
- 思ったとおりの味にならない
「誰もがおいしいいなりとは?」
全国で売られているレシピの平均をとったいなりを作り、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の全国5か所で、100人ずつに試食してもらいました。「好き」と答えたのは4割から7割弱。誰もが満足する味にはほど遠い結果になりました。
しかし、もう一つ別のいなりを食べてもらうと、どの地域でも8~9割が「好き」という結果になったのです! この“究極のいなり”のヒントは、100年前の作り方にありました。
「しょっぱい」+「あまい」=?
酢に詳しい“すし博士”が持っていた100年前のレシピをもとに、すしに詳しい“いなり寿司作りの達人”の協力を得て、明治のいなりずしを再現してみました。
現代の味つけに比べ、酢飯の塩は2~3倍、油揚げの砂糖は20倍という、かなり濃い味つけが特徴です。ところが実際に食べてみると、意外にもおいしいという結果になったのです。
スタジオゲストに、この酢飯と油揚げを別々に食べてもらいました。すると、酢飯は「しょっぱい!」、油揚げは「あり得ない甘さ!」という答え。ところがこれをいなりずしにして両方一緒に食べると、絶妙なバランスが生まれるのです。
その理由は、複数の味(甘みと酸味、塩味と酸味など)が、お互いのもち味をやわらげ、バランスのいい味になる「味の抑制効果」にありました。この明治のいなりをヒントにして、今回ガッテンが生み出したのが、「究極のいなり」なのです。
これで、一般的な作り方では「そこそこのいなり」になってしまう理由も説明できます。油揚げ(砂糖の甘味、しょうゆの塩味)に、酢飯(酢の酸味、塩の塩味、砂糖の甘味)が加わっても、「酸味vs.甘味」「酸味vs.塩味」の抑制効果で、甘味だけが強くなり、甘すぎたり、ボヤッとした味になりがちだったのです。
一方、「究極のいなり」は、油揚げ(砂糖の甘味、しょうゆの塩味)に、酢飯(塩の塩味、酢の酸味)が加わったときに、「甘味」「酸味」「塩味」がほどよいバランスになっていたのです。
「そこそこのいなり」を「究極のいなり」にするには、酢飯に砂糖を入れないことだけです!
「なぜなり!いいなりにならぬいなり」
自分で作るのは初めてという4人に、いなりずし作りに挑戦してもらいました。一般の人に採点してもらうと、高得点を出す家族が続出。ところがその一方で、「酸味が強い」「しょっぱい」という不満も出ました。同じいなりを食べているのに、なぜ評価が分かれたのでしょうか?
その理由は、作ってから食べるまでの時間にありました。高評価のものは作ってから30分後に、低評価のものは4時間後に試食したのです。つまり、いなりずしは、時間で味が変わるのです!
作ってから4時間経過したいなりずしを「油揚げ」と「酢飯」に分けて調べると、次のような現象が起きていました。
- 油揚げの酸味が増えた一方、酢飯の酸味が減った
→酢飯の酢が揮発し、油揚げに移ったためと考えられます。 - 酢飯の塩味が増えた一方、油揚げの塩味が減った
→油揚げのしょうゆが酢飯に移ったことや、酢飯の酸味が減ったぶんだけ塩味を強く感じるようになったことが、理由と考えられます。

では、時間がたってもおいしく食べられるように、プロはどうしているのでしょうか?
明治から続くあるいなりずし専門店をたずねると、油揚げの味を濃くすることで、酸味が加わっても味が大きく変わらないように工夫していました。大量の砂糖を使う上に、一晩置いて、もう1度煮ることでさらに甘味を増していたのです。

味が濃いのが苦手な人や、2回煮るのが面倒な人は、酢飯の塩を少なめにしてください。作ったばかりの時は今ひとつでも、4時間後に食べる時にはちょうどいいバランスのいなりずしを作ることができます。

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