見逃すな! 乳がん最新予防術2007年10月03日放送
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見逃すな! 乳がん最新予防術

がん徹底予防術、臓器別シリーズの第4弾は女性が最も多くかかるがん、乳がん。乳がんになる人はこの30年あまりで3.4倍に急増、年間の死者も1万人を超えています。

しかし、乳がんの特徴は“しこり”という自覚症状によって自分でも早期発見できることです。簡単に見つかるはずのしこりを多くの女性たちが見逃してしまうのには、意外な原因がありました。

女性に限らず、男性でもかかる危険がある乳がんの最新予防術をお伝えします。

「まさか私が!? 乳がんが見つかるとき」

乳がんとは全く無縁だと思っていたAさん。13年前のある日、お風呂上がりに「しこり」に気づき、病院で検査を受けたところ、乳がんと告知されました。見つかった時にしこりの大きさが1.2センチの早期がんだったため、温存手術で乳房を残すことができました。

乳がんは、しこりが1円玉サイズの2センチまでだと早期がんと分類されます。ところが2センチを超えてしまうと、乳房に張り巡らされた血管やリンパ管にがん細胞が入り込み、脇のリンパ節や、肝臓、肺など、他の臓器に転移する危険が高くなってしまうのです。

めざせ! 2センチまでの発見

乳がんの患者さんは、どのようにして乳がんを発見したのでしょうか。日本乳癌学会のデータによると、検診などで発見された人は2割で、あとの8割はしこりなどの自覚症状で自己発見していることがわかりました。

その“自己発見した人”の発見時のしこりの大きさは、早期がんの状態である2センチ以下が4割弱でした。2センチ以下の早期がんで発見できれば、10年後の生存率はおよそ90%。転移の可能性も低く、多くの場合は乳房の温存をしたまま治療もできます。

ところが6割以上の人は、しこりを2センチより大きい状態で見つけていました。2センチを超えてしまうと、転移の危険も高まってしまいます。大切な命と乳房を守るためには、しこりを2センチ以内で見つけることが大切なのです。

「徹底解明!乳がんのメカニズム」

なぜ、脂肪からできている乳房にがんが生まれてしまうのでしょうか? その答えは、乳房が本来持っている「母乳を作る」ためのメカニズムにありました。

実は、乳腺の細胞は、毎月の月経周期で分泌されるエストロゲンによって、授乳していないときにも分裂と増殖を繰り返していました。そのため、もしも遺伝子のコピーミスによって乳がん細胞が生まれてしまうと、エストロゲンの働きによって乳がん細胞が増殖してしまう危険があるのです。

乳頭の母乳の出る穴から「乳管内視鏡」という専用の内視鏡を入れて、乳腺の内部の様子を見てみると、トンネルのような細い管が張り巡らされていることがわかります。乳がんは、この管の内部で生まれるのです。

乳管の中で増殖したがん細胞は、やがて乳管を破ってまわりの組織に広がっていきます。多くの場合、乳がん細胞はまわりの組織にある繊維とともに増殖しながらしこりを作っていくため、硬いしこりになると考えられています。

乳がん発生の原因はエストロゲン?

いいえ、違います。乳がん発生のメカニズムは、まだ明らかになっていません。番組では、乳がん細胞があった場合に、エストロゲンの働きががん細胞の増殖を手助けする役割をしてしまうことをお伝えしました。

エストロゲンは、全ての乳がんの増殖に関係しているの?

6~7割の乳がんには、エストロゲンが増殖因子として関係しているといわれていますが、エストロゲンが全く関係していない乳がんもあります。

※乳がんの患者さんが、病院の検査でエストロゲンレセプター陽性だった場合には、エストロゲンががん細胞の増殖に関係する危険があります。

「油断大敵!高齢者の乳がん」

Bさんは、81歳で乳がんの診断を受け、両方の乳房の全摘手術を受けました。

乳房にできた赤い発疹のようなものに気がついたものの、まさか乳がんとは思わず、そのままにしてしまいました。ところがその2年後、乳房から出血が止まらなくなり、ようやく病院に行ったところ、10センチのしこりが見つかり、反対側の脇のリンパ節にも乳がんが転移していることがわかったのです。

閉経後に乳がんが増殖する理由

閉経後は卵巣が機能を失うため、乳がん細胞を増殖させるエストロゲンが分泌されることはないはずです。ところが、乳がんにかかる人を年代別に見てみると、閉経後の50代以上でも乳がんにかかる人が多いことがわかりました。

実は閉経後でも、体中にある脂肪細胞でエストロゲンが作られていたのです。そのため、もしも乳がん細胞があった場合には、閉経後であっても脂肪細胞で作られたエストロゲンが、がん細胞を増殖させてしまうことがあるのです。

「乳房をつぶさに大調査」

10人の女性たちに、5つのしこりが入った乳がん触診モデルでしこり探しに挑戦してもらいました。すると、しこりを全く見つけられない人から、5つ全てを見つけられた人まで、結果はさまざまでした。探し方に一体どんな違いがあったのでしょうか?

10人の挑戦者のうち、3つ以下しか見つけられなかった5人と、4つ以上見つけられた5人の間には、大きな違いがあることがわかりました。

4つ以上発見できた人は、ほぼ月に1回(または1回以上)、自己触診をしていたのです。一方、3つ以下しか見つけられなかった5人は、普段自己触診を全くしていない、または、ほとんどやっていませんでした。

大規模な調査でも、同じ傾向が見られます。乳がんの患者さんがしこりを発見したときの平均の大きさは、次のようなものでした。

  • 普段から自己触診を全くしていない人: 3.3センチ
  • 時々している人: 3.3センチ
  • 月に1回、自己触診をしている人: 2.1センチ

専門家のお話

「月に1回でも自己触診(自己検診)をしていると、小さなしこりでも自分で見つけている人が多くなります。普段の自分の乳房の状態を知っておくことで、小さな変化や異常に気がつくことができるのです。」

「マンモグラフィの光と影」

住民検診にも取り入れられ、“乳がん早期発見の切り札”ともいわれるマンモグラフィ(乳房専用X線撮影)。小さなしこりだけでなく、「石灰化」と呼ばれる症状を手がかりにすれば、1ミリ以下の乳がんでも発見が可能とされています。

ところが今年2月、新聞に「マンモグラフィ検診を受けた40代の3割に見落としの可能性がある」という記事が出ました。専門家に聞いてみると「閉経前の一部の女性の乳房は“雪原の白ウサギ”状態なので、マンモグラフィだけでは発見ができない場合がある」と言います。どういうことなのでしょうか?

マンモグラフィでは、脂肪は黒く、乳腺や乳がんのしこりは白く写ります。ところが、閉経前で乳腺が活発な年代の人では全体が白く写ってしまうため、乳がんのしこりがあっても、乳腺の白さに隠れてはっきり見えない場合があるのです。

逆に閉経後の人は乳腺が退縮して脂肪に置き換わるため、手には触れないような小さなしこりでもマンモグラフィで発見しやすくなります。
※石灰化は閉経前・後に限らず発見できます。

乳がんを30代から住民検診の対象としている千葉県では、年代別にマンモグラフィと超音波(エコー)の併用検査を行っています。

超音波(エコー)検査は、閉経前で乳腺が密な状態の乳房のしこりを発見するのに有効とされています。年齢や乳房の状態にあわせて、マンモグラフィと超音波(エコー)を使い分けることが大切です。

※現在、自治体が行う乳がんの住民検診に超音波(エコー)検査を取り入れているのは一部の自治体だけです。住民検診に超音波検診を広く導入するためには、導入によって死亡率が下がるという科学的根拠が必要です。そのため超音波検診の有効性(死亡率減少効果)を検証する研究が、厚生労働省などによって進められています。

乳がんのハイリスク要因

  • 初潮年齢が低い(初潮が早い)
  • 閉経年齢が高い(閉経が遅い)
  • 出産経験が少ない
  • 閉経後の肥満
  • 家族歴がある
  • 身長が高い

エストロゲンとの関係: 乳がんの多くがエストロゲンによって増殖するため、長期間、多くの量のエストロゲンにさらされている人は乳がんになるリスクが高いとされています。そのため、ハイリスク要因もエストロゲンに関係する項目が多くなっています。

家族歴との関係: 乳がん患者全体のおよそ7~10%ほどが「家族性乳がん」と呼ばれ、特定のタイプの遺伝子を持っていると乳がんを発症しやすいと言われていますが、大部分の乳がんは後天性のものです。

身長との関係: 成長期に早くエストロゲンが分泌された人は、身長も高くなるといわれています。また、今年発表された国立がんセンターのコホート研究でも、身長が低いグループに比べ、高いグループほど、乳がんになるリスクが高かったという結果になりました。

乳がんは男性でもなるって本当?

乳がん患者のおよそ1%が男性といわれています。男性の場合、乳腺は乳頭の真下に退化した状態で残っているため、しこりなどの自覚症状も乳頭直下に現れることが多いとされています。

検査については、男性の場合でもマンモグラフィやエコーなど、女性と全く同じ方法が必要です。しこりなどの自覚症状がある人は、外科、乳腺外科、乳腺外来などを受診してください。

自己触診(自己検診)コーナー

触れる前に、まず鏡の前に立ち、乳房の状態を目で見ます

  • チェック1: 乳首の先端から分泌物が出ないか? 手で乳首を軽く絞ってみる。
  • チェック2: 左右の乳房の形に違いがないか?
  • チェック3: 皮膚の表面に“えくぼ”のようなへこみが出ていないか?

ポイント: 腰に手をおき、皮膚を緊張させると“えくぼ”などが見やすくなります。手を上に上げる方法もあります。

触り方のポイント

  • 必ず反対側の手を使う(例:右の乳房を触るときは左手)
  • 4本の指の腹を使い、乳房が少しへこむくらいの強さで
  • 「の」の字を描くように、クルクルと乳房全体を触れる
  • 触る範囲は、上部は鎖骨のところまで、脇の下は手が届くできるだけ広い範囲で
  • 脇の下にも乳腺とリンパ節があるので、必ず確かめる

Q & A

  • Q・自己触診(検診)はどのくらいのペースでやったらいい?
    自己触診(検診)は少なくとも月に1回は行ってください。慣れないうちは毎日入浴時に乳房を手で洗うことをオススメします。石鹸ですべりが良くなり指先の感度があがるため、異変などに気がつきやすくなります。慣れてきたら月に1回のペースで大丈夫です。
  • Q・正常なのか異常なのか、触ってもわからない
    マンモグラフィ検診を受けて、検査の結果正常であることを確認した日から自己触診を始めると、その日の状態が正常の基準になります。その状態と比較して、変化がないかどうかを毎月チェックして下さい。
  • Q・しこりなどの異常を見つけたときは?
    しこりなど自覚症状がある場合には、病院の外科、乳腺外来、乳腺外科など、乳腺を専門にしている医師がいる科を速やかに受診し、精密検査を受けてください。
  • Q・乳腺専門の医師がいる病院がわからない
    日本乳癌学会のホームページで、日本乳癌学会が認定した乳腺専門医の資格を持つ医師の氏名と所属病院を公開しています。
    http://www.jbcs.gr.jp/ninteii/senmoni.html
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