毒ヘビを狩る!田んぼの王者 タガメ

第511回「毒ヘビを狩る!田んぼの王者 タガメ」

2017/6/25(日)午後7時30分~

舞台は美しい日本の里山。6月、山あいの棚田ではユニークな水生昆虫たちが水中にあふれている。太い脚で巧みに泳ぐゲンゴロウは昆虫界No.1の名スイマー。見た目も狩りのやり方もカマキリそっくりなミズカマキリ。そして最大にして最強の王者が、体長6?にもなるタガメだ。かつては日本中で見られたが、農薬の影響などで今や絶滅の危機にある。取材班はわずかに残る貴重な生息地でタガメに密着、その暮らしに迫った。カエルやドジョウなどを次々と獲物にしていくタガメ。筋肉の発達した太い前脚と鋭いツメで、相手を確実に押さえ込む圧倒的なパワーの持ち主だ。ある晩、取材班は目を疑うような光景を目撃する。毒ヘビのマムシが田んぼに現れタガメに接近。襲われるか、と思った瞬間、なんとタガメがマムシに襲いかかり、見事にしとめたのだ。テレビカメラで初めて撮影に成功した、スクープ映像だ。初夏、タガメは恋の季節。主にメスが空を飛んで相手を探す。一方のオスは田んぼで待ち構え、果物のような甘い香りを出してメスを呼ぶ。交尾のあと、メスは稲などに卵を産みつけて立ち去る。一方オスは、ふ化までのおよそ10日間卵につきっきり。日差しから守るため卵に覆いかぶさったり、乾燥を防ぐために水を与えたり、かいがいしい育メンぶりを発揮する。さらにふ化後も子どもたちに近づく大きなカメに飛びかかって、体を張って守るのだ。全編スクープ映像、王者タガメの貴重な雄姿に迫る。

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取材こぼれ話

毒ヘビを狩る!田んぼの王者 タガメ 編

タガメがマムシを狩る!衝撃のシーンの舞台裏

タガメがマムシを獲物にするという驚きの生態が、近年明らかになりました。しかし実際に襲う様子は研究者も見たことがなく、タガメよりはるかに大きく、猛毒を持つマムシをどのようにしとめるのかは、撮影を行うまで謎でした。正直に告白すると私(ディレクター)の心の中には「たまたま見つけた死骸をタガメが食べていただけなのでは…?」という疑念が少しだけあったのも事実です。しかし夜通し田んぼで粘ること4週間、ついにマムシとタガメが大接近! 昆虫とは思えないタガメの名ハンターぶりを、見事カメラでとらえることに成功しました!

田んぼの昆虫の達人!「ゲンゴロウ丸」

全国で数を減らしていて、姿を見るのも困難なタガメ。今回、探索の「助っと」をつとめて下さったのが、長崎大学の大庭伸也博士。タガメをはじめ、田んぼの昆虫が専門の気鋭の若手研究者です。甘いマスクのイケメン。よく見ると誰かに似ているような・・・そう、ラグビーのワールドカップで大活躍した五郎丸選手です! 聞いてみるとご本人も「言われることがあります」とのこと。研究対象でもある水生昆虫のゲンゴロウにあやかって、撮影現場でのニックネームは「ゲンゴロウ丸」に決まり! こちらは“五郎丸ポーズ”の大庭博士の貴重なショットです!

夢にまで見たタガメとの出会い(by 近田雄一アナウンサー)

ナレーターである私、近田も、今回撮影に参加してきました!(※実は小さい頃から、大の昆虫好きなんです!)

大庭先生に案内してもらったその場所は、まさに水生昆虫の宝庫。田んぼをちょこっとのぞくだけで、そこかしこにタイコウチやミズカマキリ、コオイムシの姿が!虫とりに夢中だった少年時代、「こんな場所があったらなぁ」という想像がそのまま現実になったような環境でした。
大庭先生、私、そして担当したカメラマンと、根っからの虫好きが揃った今回の現場。撮影中も水生昆虫のディープな話に盛り上がってしまい、ディレクターから「あの〜、そろそろ次の撮影に移りたいんですけど〜」と突っ込みが入ることもしばしばでした。

ありがとう!「ダーウィンが来た!」(by 近田雄一アナウンサー)

実は私、今回が最後のナレーション担当となります。生きものたちの真剣に生きる姿に、私自身もハラハラし、感動し、癒されることが数多くありました。

今回番組でお伝えするタガメをはじめ、開発や環境の変化で数を減らす生きものは、国内外問わず少なくありません。どうしたら守れるのか。具体的に私たちに何が出来るか。簡単なことではありませんが、その存在を知り、共感することがその第一歩になる、そんな思いも込めてこれまで番組を担当してきました。

今回の結びのコメントを、ここでご紹介したいと思います。
「人のかたわらで昔から繰り返されて来た知られざる営み。豊かな命の世界がこれからもずっと続きますように」
5年間、本当にありがとうございました。