特技はかくれんぼ!謎の鳥ヨタカ

第379回「特技はかくれんぼ!謎の鳥ヨタカ」

2014/9/14(日)午後7時30分~

初夏、東南アジアなどから日本の里山にやってくる渡り鳥、ヨタカ。

宮沢賢治の童話『よだかの星』の主人公としても知られている身近な鳥です。

しかし、夜行性のため、これまで詳しく観察されたことがなく、その暮らしぶりは謎だらけでした。今回、取材班は研究者の協力を得て、ヨタカの子育てに完全密着。驚きの行動をテレビカメラが初めて撮影することに成功しました!

ヨタカが子育てをするのは、伐採地などの開けた場所。周囲には身を隠す草むらや木もなく、一見すると天敵からまる見えの場所です。親鳥は、地面に直接卵を産んで暖めますが、体の色が地面とそっくりなため、身動きしなければ、見事に地面に溶け込んでしまいます。ヨタカの武器はこの“かくれんぼ”。天敵のタカやヘビがまったく気付かず、素通りしてしまうほどです。

ヒナが生まれると、さらに巧みな“かくれんぼ”のワザを見せます。夜、ヒナに食べ物を運ぶため、親鳥はどうしても巣に出入りしなければなりません。しかし、そこでも出来る限り目立たないためのワザを駆使します。親鳥は、獲物の昆虫をのどの奧に貯め込むことで、一度に大量の食べ物を運び、巣への出入りを極力減らすのです。さらに、ヒナにもとっておきの“かくれんぼ”のワザがあります。普通、鳥のヒナは大きな声で食べものをねだるが、ヨタカのヒナはほとんど鳴きません。親鳥のクチバシを引っ張って静かに食べものをせがむのです。

ところが、これだけの“かくれんぼ”のワザをもってしても、親子を大ピンチが襲います。突然、ヘビが親子に襲い掛かってきたのです。なぜ見つかってしまったのでしょうか?そして、親子の運命は?

これまで謎に包まれていたヨタカのユニークな生き残り術に、スクープ映像満載で迫ります!

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取材こぼれ話

広島県廿日市市 編

林業のまちが育むヨタカ

今回の主人公・ヨタカは、かつては日本各地どこでも見られる鳥でしたが、近年は数が減り、準絶滅危惧種に指定されています。減ってしまった原因として考えられるのが、子育てできる場所の減少です。ヨタカが子育てに選ぶのは、おもに伐採地などの開けた地面。温暖湿潤な日本では、そうした場所は、すぐに森になってしまいます。つまり、ヨタカが毎年子育てするには、こまめに人が伐採して利用する“里山”が必要。エネルギー革命と木材の輸入自由化により、日本の林業が衰退していくのとともに、ヨタカの生息できる環境も減っていったと考えられているんです。

私たちがヨタカの撮影をしたのは、広島県廿日市市。古くから林業と木工業で栄えた場所です。地元の方に伺ったところ、昔はさらに林業が盛んで、ヨタカの声を聞くことも今より多かったそうです。人間の暮らしの変化がヨタカに与える影響の大きさを感じました。

ひっそり暮らす“かくれんぼ”の名手

地面に完全に溶け込む模様をしたヨタカ。しかも滅多に動かないため、どこにいるのかなかなか見つけられません。卵を抱いている間はずっと同じ場所にいるので、簡単に見つけられそうですが、実際は違いました。「確かにあのあたりにいるはず」と分かっていても、いくら目を凝らしても、双眼鏡をのぞいてみても、なかなか分からないんです。羽づくろいなどでわずかに動くと、ようやく「そこにいたのか」と分かるほど、ヨタカのかくれんぼワザは見事でした。

日中じっと“かくれんぼ”をしているヨタカが活発に動くのは、日没後から日の出前。暗い中での行動は、普通のカメラでも、人間の目でも観察できないため、謎に包まれていました。そこで今回使用したのは、特殊な高感度カメラ。最新の機材のおかげで、ヨタカのカップルの仲むつまじい様子を初めてとらえることができました。