華麗なる海鳥 森の奮闘記

第299回「華麗なる海鳥 森の奮闘記」

2013/1/6(日)午後7時30分~

東京都心から南へおよそ200キロ。伊豆諸島の一つ、御蔵島。オオミズナギドリはこの御蔵島を世界最大の繁殖地にしている海鳥です。人口300あまりの島に、なんと80万羽が暮らしています。オオミズナギドリは、巧みな「滑空」のワザを持つことで知られています。海の上を吹く風を捉え、ほとんど羽ばたくことなく長距離を滑空し続けることができるのです。

でも、華麗に大海原を舞う名飛行家としての姿からは想像できない、もう一つの顔があります。夜、島の森では、木に激突したり、枝に引っかかったりしながらドタバタと「墜落」するように帰って来るオオミズナギドリを目撃。さらに、出かけるときはもっと大変です。鳥なのに、わざわざ高い木に「木登り」してから飛び立ちます。実は、オオミズナギドリは地面から飛び立つのが苦手。障害物だらけの森の中では助走をつけたり大きく羽ばたいたりすることが出来ないため、うまく飛び立てないのです。ジャンプ台となる高い木の周辺には、鳥たちが順番争いやポジション争いの大騒動を繰り広げます。

番組では、最新の超高感度カメラを駆使して親鳥たちの夜の生態に密着するとともに、謎に包まれていたヒナたちの行動も追跡。親離れのあと、ネズミやネコ、カラスなど天敵の脅威にさらされながら、懸命に海を目指すヒナたちの旅立ちまでの日々をドキュメントします。華麗な海の顔と、なりふり構わぬがむしゃらな森の顔。オオミズナギドリが見せる両極端な2つの顔には、生き抜くための驚くべき秘密が隠されていたのです。

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取材こぼれ話

伊豆諸島・御蔵島 編

森での騒がしい行動に圧倒された日々

伊豆諸島の一つ、御蔵島。スダジイやタブノキなど巨木が茂り、東京都の秘境と呼ばれる自然豊かな島です。この島の森を世界最大の繁殖地にしている海鳥が、今回の主人公・オオミズナギドリです。スタッフがまず驚いたのがその数!人口300あまりの島に、なん80万羽が暮らしています。夜、空を埋め尽くす大群には圧倒されました。大きな鳴き声もあってか、少し怖いほど。おまけに、森に激しく墜落する姿や、仲間と大喧嘩をしながら木に登る様子を目の当たりにして、「何だ、この不思議な鳥は???」と驚きの連続。海での美しい姿と、森でのコミカルな姿とのギャップがユニークで、撮影を進めるうちにどんどん愛着がわいてきました。

コミカルな行動に隠された親子愛

オオミズナギドリが苦労しつつも森の中で生活しているのは、他ならぬ子育てのため。巣穴に設置したカメラには、海からの長旅を終えて巣穴に戻った親鳥がヒナに食べものを与え続け、自らはほとんど休むことなく、再び海へ狩りに出かける様子が記録されていました。その献身的な子育ての様子に胸を打たれました。

疲れを癒やしてくれた「東京の星空」

大変だったのが、夜の撮影。オオミズナギドリは、暗くなると島に帰ってきて、夜明け前に海へ狩りをしに出かけていきます。つまり、島での彼らの生活は、完全な夜型です。それに合わせて撮影スタッフも昼夜逆転の生活を強いられました。特に8月の子育て最盛期には、3週間にわたってわずか2時間の仮眠を取りながら、夜通し撮影を行う毎日が続きました。その仮眠ですら、オオミズナギドリの激しい鳴き声や大きな落下音に何度も目を覚まされ、ほとんど休めなかったのです。そんな疲労困ぱいの撮影中、私たちを癒やしてくれたのが星空でした。東京の都心から200キロも離れている御蔵島は、空気が澄み切っています。撮影に疲れてあおむけに倒れ込むと、こぼれるような満点の星空が目に飛び込んできます。その美しさたるや、以前、別のロケで見た北アルプス山頂からの星空もしのぐほどでした!息を飲むほど素晴らしい「東京の星空」に、たまった疲れも吹き飛んでいきました。番組にも美しい星空が登場しますので、皆さんもぜひご堪能ください。