チョウがアリに化けた!

第029回「チョウがアリに化けた!」

2006/11/5(日)午後7時30分~

数あるチョウの中でも4割もの種類を占めるシジミチョウの仲間。羽の長さは最大でも3センチほど、とても小さくてかわいらしい姿で空を舞います。皆さんの身近でも見かけたことありませんか?
でも実は、その成長の過程には意外な協力者がいます。アリです。何とシジミチョウのうち7割もの種類が、羽化するまでの間に何らかの形でアリのお世話になっているのです。
中でも究極の姿がクロシジミ。生まれて間もない幼虫がスパイのようにアリの巣にもぐりこみ、食事や体の掃除などあらゆる生活の面倒をみてもらっているのです。
その姿はまるで王様のよう! 羽化するまでの何と11ヶ月もの間、幼虫は天敵に襲われる心配やエサの心配をすることもなく、アリに食べさせてもらって成長するのです。なぜクロシジミは姿も形も全く違うアリに育ててもらえるのでしょうか?
研究によると、クロシジミの幼虫が体からアリに似た化学物質(ニオイのようなもの)を出して、アリを「だまして」いるらしいんです。見た目は全く違うのに、アリはこのニオイで幼虫をすっかり仲間だと思ってしまうんですね。
でも幼虫もお世話されっぱなしではありません。クロシジミはお返しに、甘いミツをアリに出してあげます。アリはこのミツが大好き。でもその甘いミツも、元をたどればアリにもらった栄養なんですけどね・・・。
こうしてアリの巣の中で大切に育てられるクロシジミの幼虫。しかしこの関係にも終わりの時がやって来ます。それは、クロシジミのサナギが羽化する瞬間。何と、サナギのカラを脱ぐのと同時にアリをだましていた「化けの皮」まではがれてしまうんです。
クロシジミが部外者だと気がつくアリ。それを知ってか、大急ぎで巣から逃げ出そうとするクロシジミ。アリとチョウの不思議な同棲生活は、最後に運命のいたずらが待っているのです。

※画像クリックで拡大します