オウムが歌う!踊る!ドラムを叩く!!

第582回「オウムが歌う!踊る!ドラムを叩く!!」

2019/1/27(日)午後7時30分~

黒一色の体に真っ赤な頬、頭の飾り羽はまるでモヒカン。パンクロッカーのような姿の鳥、ヤシオウムだ。

生息地はオーストラリア。生涯伴侶を変えないヤシオウムは、繁殖期になるとユーカリの森で盛んに夫婦の絆を確かめ合う。向かい合って鳴き交わし、足を踏みならして翼を広げあう姿は、まるでダンス。オスはさらに「ドラム演奏」まで披露する。枝を使ってドラムスティックを自作し、ユーカリの幹のウロをたたくのだ。

観察を続けると、このドラム演奏には求愛以外にも目的があることがみえてきた。たたく音で、ウロが頑丈かどうかを確かめているのだ。このウロ、夫婦が子育てに使う巣穴になる。こうしたウロの多くは、木がシロアリに食われて空洞になってできたもの。多くはもろく、壊れやすい。それを建築物の安全を確認する「打音検査」のごとく、調べていたのだ。

巣穴をめぐるライバルとの争いでもドラム演奏を披露する。太くて堅い枝を折り取って、大きな音で威嚇。力強さをアピールするのだ。

さらに夫婦の「デュエット」でライバルを威圧することも。「うにゃうにゃうにゃ」と不思議な鳴き声で、夫婦一緒に歌うのだ。鳴き声がぴったり合っているほど、経験豊富な証拠。夫婦の絆こそ、ヤシオウムの強さなのだ。

さまざまな試練を乗り越え、巣穴を確保するヤシオウムの夫婦。ある日、ドラム演奏を終えたオスが、大切なドラムスティックを裂き始めた。卵を守る巣材になるのだ。

長い生涯、同じ相手と連れ添うヤシオウム。情熱的なドラム演奏は、絆を保ち、命を育み続けるための秘策だった。

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取材こぼれ話

オウムが歌う!踊る!ドラムを叩く!! 編

動物の赤ちゃんが集まる宿

今回、取材班が泊まったのは、国立公園のすぐそばの宿。研究者やバードウォッチャー御用達で、自然が大好きなスタッフたちが働いています。私たちの滞在中、ちょっと珍しい来客がありました。交通事故に遭い、親を亡くしたディンゴとワラビーの赤ちゃんです。ときおり、こうした野生動物の赤ちゃんが運び込まれ、スタッフが育てて野生に帰しているんだそう。懸命にミルクを飲む姿に、みんなメロメロ! かわいさだけじゃなく、命のたくましさも感じられました。大自然を駆けめぐる彼らに出会える日が来るのを願って・・・。元気に育ってね!

ヤシオウムのドラム演奏は「文化」!?

今回の撮影地は、オーストラリアのケアンズから北に800km、ロックハートリバーという地域。ヤシオウムはそのほかに、ニューギニアや周辺の島にも暮らしています。でも不思議なことに、「ドラム演奏」するのは、この地域のヤシオウムだけ。ある個体が足を踏み鳴らしたとき、たまたま巣材の枝をつかんでいたのが「ドラム演奏」の始まりで、それを子どもや近くの個体がまねて「文化」ができていった、というのが、ヤシオウム研究者・クリスティーナさんの考えです。番組の中では紹介できませんでしたが、生きものっておもしろいなあ、と改めて感じたエピソードでした。