なぜ富士山に?草原のヒバリ

第525回「なぜ富士山に?草原のヒバリ」

2017/10/8(日)午後7時30分~

北海道から九州まで日本各地の平地の草原に生息する鳥・ヒバリ。漢字で「雲雀」と書く通り、オスが天高く飛びながらさえずることで知られている。でも、いったいどの位高く飛んでいるのか?詳しい調査が行なわれたことはなかった。そこで、番組ではドローンや高所作業車、最先端の計測器を投入し、世界で初めてヒバリの飛行高度の計測に挑戦した!その結果、なんと30階建ての高層ビルに匹敵する110mもの高さまで上昇していることが明らかに。これほど高く飛ぶのは、オスが繁殖期に自分の縄張りを主張し、上空から侵入者を警戒するため。開けた草原では、縄張りを見下ろすような木はない。高く飛ぶことで、縄張り全体を見張るのだ。

さらに、これまで平地にしかいないと考えられてきたヒバリだが、つい10年ほど前から意外な場所で数々目撃されている。それは富士山の高山帯。斜面に生えた植物の根元に巣を作り子育てをする姿が確認されている。しかし、高山での暮らしぶりが詳しく観察されたことはなく、謎だらけ。そこで、取材班は、巣のそばに無人カメラを設置して密着。すると、ヒナが凍え死ぬほどの濃霧や、親鳥が吹き飛ばされるほどの強風、さらには台風がもたらす豪雨などなど、平地とはくらべものにならないほど過酷な環境が明らかに!なぜヒバリこんな厳しい場所で暮らすのか? 実はそこには高山ならではの意外な恵みの存在があった。身近な鳥・ヒバリの知られざる暮らしぶりに迫る。

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取材こぼれ話

なぜ富士山に?草原のヒバリ 編

富士山の急斜面を捜索!

今回の撮影地の1つは、標高2000メートルの富士山5合目。ここでのヒバリの捜索は難航しました。ヒバリの親鳥は天敵から卵やヒナを守るため、巣から離れた場所に着地する習性があります。また富士山のヒバリは、人に慣れていないせいか、平地のヒバリよりも警戒心が強く、離れた場所からしか撮影できませんでした。火山灰に覆われた急斜面を歩き回って、ヒバリの姿を追い求めるハードな毎日が続きましたが、懸命に子育てする親鳥と日々成長するヒナの姿を見ていると、我々も負けられないと勇気づけられました。

野鳥の宝庫!受け継がれる富士山愛

実は富士山は、日本のバードウォッチング発祥の地。1934年、北原白秋などの文化人たちが野鳥観察会を行い、それが日本の自然保護活動を生むきっかけになったといわれています。その伝統は今も引き継がれていて、野鳥観察会が盛んに行われています。しかし観察会を主催する菅常雄さんによると、昔と比べると、富士山の野鳥の数は減ってきているといいます。原因は高速道路の建設や外来生物の侵入といった人間がもたらす影響。今後、人間はどうやって富士山と付き合っていくべきか、子供たちに伝えたいと語る菅さん。ヒバリはもちろん、他の生きものたちが安心して暮らせる富士山の環境がこれからも残って行きますように。そう強く願わずにはいられません。