まるで恐竜! バンコクの街なかを歩き回る

第498回「まるで恐竜! バンコクの街なかを歩き回る」

2017/3/26(日)午後7時30分~

舞台は「ほほえみの国」タイの首都バンコク。今、この大都会で異変が起きています。公園に、カフェのテラスに、駐輪場にバス停に、まるで恐竜のような姿の巨大トカゲが姿を現しているのです。正体はミズオオトカゲ、大きいもので全長2mを超えます。周りを人が歩いていようが何のその、巨大トカゲは我が物顔にかっ歩。取っ組み合いの大ゲンカを始めたり、獲物を取り合ったり、やりたい放題です。なぜ街中にこれほどたくさんいるのでしょうか?本来、自然豊かな水辺の環境を好むオオトカゲ。バンコクにはかつて豊かな水辺がたくさんありましたが、近代化とともに激減。オオトカゲの住める水辺は公園など限られた場所しかなくなってしまったため、現在のように密集して暮らすようになったといいます。天敵のワニが少ないため、安心して生きていけるのも大都会のメリットです。公園の水辺でタウナギを捕まえたり、大きなカメを丸飲みしたり、さらに人のおこぼれにもありつけます。オオトカゲは人の営みを巧みに利用して生きているのです。食生活に加えて、住宅事情にも密着。ねぐらは道路脇の排水溝や空き家の中など、こちらも大都会ならでは。人の暮らしのすぐ隣で、したたかに、そしてたくましく生きる巨大トカゲ。その驚きの暮らしに迫ります。

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取材こぼれ話

タイ・バンコクの街なか 編

人と巨大トカゲ 不思議な距離感

今回、撮影でミズオオトカゲの密集地を訪ねて一番驚いたのは、人とトカゲの「距離感」です。バンコクの街なかでは、人のすぐ近くに「なんじゃこりゃぁ!」と思わず叫びそうになる巨大トカゲがウヨウヨしています。日本であればそれだけでニュースになりそうな光景ですが、地元の人たちの反応はいたって淡白。「なんじゃこりゃぁ!」なんて叫ぶことはなく、私たちが通勤の途中にネコやスズメを見かけるのと同じような感覚で、「ああ、トカゲ、いるね。以上」なんです。これはいったい何なんでしょうか? 良く言えば「相手の存在に対して寛容」とも言えますし、もっと率直に言えば「完全に無視」です。しかし取材を進めるにつれ、ミズオオトカゲが街の中で繁栄を遂げることができたのは、この人間からの「無関心」が大きく関係しているように感じ始めました。

人の隣でたくましく生きてゆく!

ロケの最中、昔ながらの自然が残る街なかの水路でミズオオトカゲを探していた時の事です。
ミズオオトカゲは私たちの存在を察知したとたんに、水に潜ったりして姿を隠してしまいます。公園など密集地のオオトカゲは、人間が近くにいてもへっちゃらだったのに、この差は何?
公園からほんの数kmしか離れていない場所ですが、このミズオオトカゲはケタ違いに警戒心が強いのです。考えてゆくと、密集地のオオトカゲたちは何よりもまず「人間」という究極の都市環境に適応していることが分かりました。そして「人に慣れることができた」からこそ、ミズオオトカゲは大繁栄を成し遂げたと考えられるんです。もし仮に、街の中にオオトカゲが進出した時に人間の反応が「無関心」でなかったとしたら、どうだったでしょうか? 人間が“無関心”であったからこそ、ミズオオトカゲは元の生息地を失っても、自由に生きることができた。タイならではの、人と野生動物の新しい「いい関係」を、ぜひご覧ください。