水面を跳ぶ!かわいい忍者ガエル

第484回「水面を跳ぶ!かわいい忍者ガエル」

2016/12/11(日)午後7時30分~

世界屈指のカエルの楽園、マレーシア・ボルネオ島の熱帯雨林が今回の舞台です。体から接着剤のような粘液を出すカエルや、空を飛ぶカエル、さらには1円玉より小さい超ミニガエルまで、奇妙奇天烈なカエルたちが暮らしています。この森でこれまでに確認されているカエルは200種近く。今でも毎年のように新種が発見されているといいます。

中でも飛び切り変わっているカエルが、森の中を流れる渓流に暮らすナガレガエルです。大きな目をしたかわいいカエルで、大きさはアマガエルとほぼ同じ3センチほど。見た目は普通のカエルですが、まるで忍者のような驚きの技をいくつも持っているんです。苔むした岩の上でじっとして身を潜める「隠れ身の術」。流れの急な渓流の水の上を飛び跳ねて渡る「水面ジャンプの術」。極めつきは、後ろ足の水かきを広げて手旗ならぬ“足旗信号”を出す「足旗の術」です。

取材班は、京都大学の研究者とともに、ナガレガエルの渓流での生活に密着。オス同士が「足旗の術」で縄張り争いをする様子や、オスがメスに熱烈な恋の足旗ダンスを披露して求愛する様子など、研究者も初めて見る貴重な瞬間を撮影することに成功しました。さらにナガレガエルの奥義である「水面ジャンプの術」を最新鋭の4Kハイスピードカメラで徹底的に撮影。流れが強く不安定な水の上でどうやって高く飛び跳ねているのか、その秘密を解き明かすことにも成功しました。

驚きいっぱい!スゴ技盛りだくさんのかわいい忍者ガエルの奇妙な暮らしに迫りました。

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取材こぼれ話

マレーシア・ボルネオ島『かわいい忍者ガエル』 編

激流を跳ねるカエルが本当にいるの!?

日本で「渓流の水面をジャンプして渡る忍者のようなカエルがいる。その名はナガレガエル」そう聞いたとき、胸が高鳴ると同時に、にわかには信じられませんでした。不安定な水の上でジャンプするだけでも驚きなのに、流れの強い川の上を軽々と飛び跳ね渡っていくというカエルの姿が、自分にはなかなか想像できなかったのです。しかし今回、忍者ガエルを紹介してくれた京都大学の西川完途さんは、ボルネオの森で何度もカエルの調査を行ってきたエキスパート。その先生が「自分の目で見た」と言います。その言葉を信じ、ボルネオの森を訪ねたのでした。

ナガレガエルのすみかは森の奥の渓流。途中何度もヒルの襲撃を受けながら、川の中を進むこと約2時間。しかし、現場に到着してもどこにもお目当てのカエルの姿がありません。実は、ナガレガエルの体の模様はコケの生えた岩とそっくりなんです。まさに隠れ身の術!擬態をするカエルは他にも有名なものが数多くいると思いますが、今回のナガレガエルはかなり高度でした。「自然は本当に良くできているもんだ」と感嘆してしまいました。

撮影前、私が最も心配していたのは「ナガレガエルは一体どの程度、川をジャンプして渡ることができるのか」ということでした。私は10年近く前に「ダーウィンが来た!」の制作で、バシリスクというトカゲを取材したことがありました。このトカゲは水上を走ることができるのですが、走れるのは流れのない静かな水面だけでした。しかし、今回のナガレガエルは流れの強い、いわば激流の水面をジャンプして渡ることができるといいます。「本当にそんなことが可能なのか?」自分の目で見るまでどうしても信じられない気持ちがありました。しかし撮影を始めて間もなく、そんな不安はまったくの杞憂だったことが分りました。ナガレガエルは、いとも簡単に激流の上をピョンピョン跳んで渡っていったのです。

でも、一体どうやれば不安定な水の上で飛び跳ねることができるのか? 

今回、番組ではナガレガエルの水面ジャンプの様子を4Kハイスピードカメラで徹底的に撮影することにしました。しかし、撮影は困難を極めました。カエルは小さい上に、動きが速いのでピントを合わせるのが大変。しかも、熱帯雨林ならではの猛烈な湿気で、撮影機材の調子が次々に悪くなっていくという事件も発生。こうした苦労の末に撮影したのが、水面ジャンプの様子を克明に捉えたハイスピード映像です。今回の映像から、ナガレガエルが後足はもちろん、前足も器用に使いながら水面を見事に飛び跳ねている様子が見えてきました。その珠玉の映像は、是非番組で見てもらえれば幸いです。