潜入!秘密のネコワールド

第481回「潜入!秘密のネコワールド」

2016/11/20(日)午後7時30分~

私たちに最も身近な動物・ネコ。その秘密の世界に潜入します。舞台は福岡県の相島(あいのしま)。周囲8キロほどの小さな島に100匹近いネコが暮らしています。ネコたちは、漁師さんから漁のおこぼれをもらうなど、古くから人々と共存してきました。島は「ネコ研究の最前線」として世界にその名を知られています。島のネコを対象にユニークな研究が40年近くも続けられ、野生動物としてのネコの素顔が明らかになってきたのです。メスに求愛する順位をめぐり、オスは時に大けがを負うほどの激しい争いを繰り広げます。ところが、そんなオスたちをメスは翻弄。じらしたり、振り切って逃げ出したり……最新の調査では、産まれてきた子どものDNA鑑定から驚きの事実が判明しました。メスは順位争いに必死なオスを尻目に、争いに加わらない「よそ者」を選んでいたのです。遺伝的な多様性を保つための知恵だと考えられます。さらに子育てでは、子ネコを狙って次々にトビやあぶれオスなど危険な敵が襲来。母ネコたちはわが子を守るため、ある秘策を繰り出します。かわいいだけではない、たくましい生きもの、ネコ。BSプレミアムの人気番組「世界ネコ歩き」でおなじみの動物写真家・岩合光昭さんも相島のネコたちを撮影!「ネコは野生動物そのものです」と語ります。

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取材こぼれ話

日本・福岡 編

ネコの名前

ネコたちを追いはじめて数日。島の人とも仲良くなり、ネコの目撃情報を聞き始めた頃のことです。どうも話がかみ合いません。宿のご主人のお気に入りは、「カオル」君という白いオスネコ。愛嬌もあり、周りには他に白いネコがいないので、すぐに見分けがつきます。ところが、隣の人に「カオル君見ましたか?」と聞くと、いくら聞いても見てないとおっしゃいます。少ししてから、お隣さんはその白いオスのことを「アーちゃん」と呼んでいることに気がついたんです! いろんな名前で呼ばれる島のネコたち。本人たちは自分のコト、どんな名前だ、って思っているんでしょうね?

それと面白いのが、島の人のネーミングセンス! 数が多いので、なるべくわかりやすい名前を付けています。まだら模様で汚れているような模様のネコは、その名も「ヨゴレ」。鼻に黒い点があるので、「ハナチョン」。ちょっと模様の出方がちょっと不格好で、ぶさいくに見えるから「ブータン」。でも、皆とっても可愛がっているんですよー。最初に紹介した「カオル」君は、実は宿のご主人のお孫さんと同じ名前!「最近、カオル君が来なくてねー。どこにいるんだろう?」なんて会話の時は、ネコのカオル君のこと。「もうすぐ夏休みでカオル君が帰ってくるんですよ。」というのは、お孫さんの話。どちらもとっても大事なカオル君なのでした。

島の人たちに支えられたネコ取材

ネコの撮影は、相島だからこそ続けられたかもしれません。自由に動き回るネコは、路地裏や民家の裏庭など、狭い場所をスルスル入って行ってしまいます。それを追うには、私たちも家の人に断りながら、庭に入れさせてもらったり、物置を開けさせてもらったり。昼夜を問わず、お願いしなければなりません。私たちがネコを待つ姿は、不審者そのもの。洗濯物を干す庭や、生活が覗ける場所に、見知らぬ人を入れるなんて、決して気持ちのいいことではありません。それなのに皆さん即答で、「いつでもどうぞ!」と言ってくれるんです。小さな島では、私たちの情報は筒抜け。2、3日取材をすれば、まだ挨拶をしていない島の人たちからも、「取材頑張って!」「寒いから体に気をつけてね」なんて励ましの声をかけてもらえます。さらに何と、毎日のように差し入れまで!真冬の氷点下を下回る時期には、温かいコーヒーをいつでも飲めるようにと、ポットを置いておいてくれたり。真夏の炎天下では、かき氷やスイカを持って来てくれたり。お土産にもらったお菓子のおすそ分けや、できたての魚ご飯を持って来てくれたり。島に一軒の食堂では、おいしいお刺身のおまけを出してくれたり。島に暮らしていると、生活に必要な物は何でもすぐ手に入るわけではありません。ほとんどの生活品を、島の外から重たい思いをしながら買って来ます。それなのに、「相島に取材に来てくれて、ありがとね」と感謝までされて、色々と頂きものまで。こちらこそ、本当にありがとうございました!

それと、島の子どもたちからもたくさんの応援を頂きました! 島には小学校と中学校が1校ずつありますが、全校生徒は6人ほど。私たちを見ると皆が、「今日はいいの撮れた?」「向こうに探していたネコがいたよ」なんて。とても思いやりのある子どもたちです。島には高校がないので、中学を卒業すれば皆、島を離れて寮などに入らなければなりません。ある高校生になったばかりの子に聞いてみると、「学校を卒業したらまた島に戻って、家の仕事を手伝いたいな」優しい上に、なんてしっかりしているんだろうと感動しました。そしてあったかい島の暮らしを感じました。島には確かに何もないかもしれません。でも、深くて強い人のつながりがあります。通りすがりの人は全員が顔見知り。私たちも島に渡るたびに、「おかえり!」「よく来たね!」と毎回、大歓迎されるようになりました。今では私たち取材班にとっても「第二の故郷」です。