常識はずれ!タテガミを捨てたライオン

第463回「常識はずれ!タテガミを捨てたライオン」

2016/6/12(日)午後7時30分~

百獣の王ライオン。オスのシンボルは、豊かなタテガミです。しかし、アフリカ東部、ケニアのツァボ国立公園のライオンに、この常識は当てはまりません。何と、ここに暮らす全てのオスにタテガミがほとんどないのです。さらに、オスの外見だけではなく、メスの行動も常識はずれ。普通のライオンの場合、狩りはメスの役目。群れの仲間と協力し、捕った獲物は仲間と分け合って食べます。しかし、ツァボではメスは仲間と協力することはなく、単独で狩りを行い、獲物を仲間と分け合うこともありません。

ツァボのライオンが他の地域のものと異なる姿や行動をするのには理由があります。ツァボはライオンが生息する環境の中では最も暑く乾燥した場所の一つ。暑い場所ではオスのタテガミはマフラーのような働きをし、熱がこもり体から熱を発散出来ないのです。そのため、ツァボのオスはタテガミをもたない不思議な姿に進化したといいます。

独特の狩りの方法も厳しい環境が原因。乾燥のため草がほとんど生えず、普通のライオンが獲物にしているシマウマなどの大型草食動物が少ないのです。獲物はイボイノシシなどの小さな動物が中心。獲物が小さすぎるため、群れの仲間と分け合うことが出来ないというわけです。

雨季、ライオンたちは、思いもよらない行動を見せます。何と、それまで単独で狩りをしていたライオンたちが力を合わせるのです。それは、雨の後のほんのわずかな期間、新鮮な草を求めてやって来る大型草食動物のバッファローをしとめるため。オスとメスが力を合わせて、巨大なバッファローに襲いかかるのです。

柔軟に姿や行動を変えることで、厳しい環境を生き抜いてきたツァボのライオンに迫ります。

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取材こぼれ話

ケニア・ツァボ国立公園 編

気性の荒いツァボライオン

今回の主役は、ケニアのツァボ国立公園で暮らすライオンです。これまで私はケニア、タンザニア、南アフリカとアフリカ各地で多くのライオンを撮影してきました。基本的にライオンは人間に興味を示しませんが、ツァボのライオンだけは別。目を大きく見開き、こちらをにらみつけて、「ガウッ!!」と威嚇してくるのです。撮影は車の中から行っているので襲われることはないのですが、ライオンに敵意を向けられたのだと思うとゾッとしました。日々、ツァボ国立公園で野生動物を見守っているレンジャーにもギョッとする経験があったそうです。ほろ付きトラックの荷台に乗ってライオンの近くを通過した時、突然オスライオンが荷台に飛びかかりました。ほろは引き裂かれ、その後もライオンはトラックの後をずっと追いかけてきたそうです。危機一髪、レンジャーは逃げることができましたが、何とも身震いする話です。

実はツァボライオンの気性が荒いのは有名な話。1898年、ケニアとウガンダの間に鉄道を敷くために働いていた工事関係者が少なくとも28人、一説によれば100人以上もがライオンに殺されました。そのライオンはその後捕らえられて剥製にされ、今もアメリカ・シカゴのフィールド自然史博物館に展示されています。

とはいえ、ツァボライオンも生きるために必死。タテガミを捨てたのも、やむを得ない事情があったんです。番組ではそんなツァボライオンが過酷な環境で、けなげに生きる姿をご紹介します。ぜひ、ご覧ください。