大探査!西之島 知られざる大自然

第460回「大探査!西之島 知られざる大自然」

2016/5/22(日)午後7時30分~

3年前、突然噴火を始めた小笠原諸島の西之島。流れ出す溶岩が、元々隣にあった島(旧・西之島)を飲み込み、直径2キロの島へと急成長しました。

2015年夏、NHKは研究機関と協力して、西之島が噴火して以来、初めて本格的な撮影に挑戦しました。噴火活動が続くため人が立ち入れない島に、4Kカメラを搭載した無人ヘリコプターや無人潜水艇を駆使して空と海から超接近する作戦です。

無人ヘリは、巨大な岩を次々に噴き出す噴火口の荒々しい姿や、高熱の溶岩に覆われた島の様子を映し出しました。生きものが到底暮らせなさそうな島の一角で、驚きの光景を目撃。なんと、溶岩のすぐそばで、海鳥の大群が子育てをしていたのです。なぜ、こんな場所で暮らしているのでしょうか?その生活を詳しく観察するため、噴火後初めて島に上陸しての撮影を敢行!その重責を担ったのは、周囲360度の映像を24時間記録できる新開発「定点カメラ」です。「定点カメラ」の映像から、海鳥と西之島の意外な関係が明らかになりました!

一方、高性能水中ロボットなどで、西之島を取り囲む未知の海にも潜入。色鮮やかなサンゴやカイメンであふれるお花畑のような世界を目撃。さらに、大きさ5メートルにもおよぶ巨大なサメ・カグラザメや、新種らしき魚にも遭遇しました。

溶岩だらけの西之島に、今後どのように動植物が根づいていくのか。今、世界中の研究者が注目しているといいます。番組では、世界初の大探査の迫力映像で、秘境・西之島の知られざる大自然に迫りました。

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取材こぼれ話

無人機で大探査! 小笠原・西之島 編

危険すぎて島に近づけない…

今回の撮影地は小笠原諸島の西之島。一番近くの人の住む島・父島から130キロも離れた太平洋に浮かぶ火山島です。船で本州からノンストップで50時間かけてようやくたどり着ける絶海の孤島なのです。今回の撮影で一番の問題は、危険すぎて島に近づけないこと。撮影当時、島の中心から4キロ以内には、人の立ち入りが許されていませんでした。火口から大きな噴石が飛んできたり、島の周りで海底噴火が起きたりする危険があったからです。そこで、ドローンなど最新の無人撮影装置を使っての撮影に挑むことにしました。でも、やっぱり上陸して間近で撮影したい!そんなスタッフたちの願いを込めて開発したのが「定点カメラ」です。噴火して以来、誰も足を踏みいれたことがない西之島に、この「定点カメラ」を無人ヘリコプターで設置して、周囲360度の映像を24時間記録できれば、きっと島の素顔が見えるはず…。思い描くのは簡単でしたが、開発は実に大変でした。一番の難関は熱対策。西之島のほとんどは、温度が数百度もある灼(しゃく)熱の溶岩で覆われているうえ、真上からは直射日光があたり続けます。カメラは高温になりすぎると、すぐに壊れてしまうため、カメラの温度を下げるために冷却用の扇風機や放熱板を取り付けてみたのですが、今度は重くなりすぎて、無人ヘリコプターで運べなくなってしまったことも・・・。試行錯誤を何度も繰り返し、数々の難関を突破して出来あがった定点カメラ。苦労の末にとらえたお宝映像の数々、番組でじっくりとご覧ください。

大スクープ! 西之島 音のある風景

2年間も噴火を続けてきた西之島。噴火を始めた当時の爆発的な噴火を除いて、実は噴火の際にどんな音がしているのか、分かっていなかったんです。海上保安庁などが1か月に一度、定期的に西之島を上空から観測していたんですが、飛行機のエンジン音に紛れてしまって、噴火の音は聞こえないそうです。私たちスタッフも1か月ほど西之島の沖合4キロにて調査船で寝泊まりしていたんですが、目の前で噴煙をあげて爆発しているのに、やっぱり船のエンジン音にかき消され、一度も噴火の音が聞こえませんでした。

そんな状況のなかで、ひそかに活躍してくれたのが「定点カメラ」です。カメラシステムに組み込んでいた音声レコーダーが、噴火の音をとらえていたんです。それは実に「地鳴りのような重低音」でした。そして驚いたのが、夜、噴火の音から始まる鳥たちの鳴き声。噴火の音にびっくりして、鳥たちは眠りから目覚めてしまっていたんです。みんな頑張って暮らしているんだなー、と実感できた瞬間でした。迫力の映像はもちろん、ひそかな大スクープの「音」にも、じっと耳を澄ませて頂けたら幸いです。