世界遺産知床 オスグマ 王座を目指せ!

第451回「世界遺産知床 オスグマ 王座を目指せ!」

2016/3/13(日)午後7時30分~

舞台は世界自然遺産、北海道の知床半島。深い森の中で、無人カメラがヒグマのとても珍しい映像をとらえました。2本足で立ち上がると、突然、謎の「腰ふりダンス」を始めたんです。

不思議なダンスを踊るのは、オスのヒグマたち。立ち上がると高さ3mを超える、名実ともに日本最大の陸上動物です。しかし、オスは警戒心がとても強く、普段は深い森の中で暮らしているため、その姿を見ることすら極めて難しいんです。実は、これまで撮影されたヒグマの映像は、ほとんどがメスや子どもなんですよ。

私たちは地元の研究チームとともに、足かけ6年にわたってオスたちを追い続けました。研究グループは、1頭1頭のヒグマを見分けて行動を調査、さらに最新の遺伝子解析によって100頭を超えるヒグマたちの親子関係までも明らかにしてきました。研究チームのアドバイスで、森の中のあちこちに無人カメラを設置。オスたちの行動を探る中で、謎の「腰ふりダンス」を撮影することに成功したんです。

さらに、遺伝子解析をすすめた結果、撮影地周辺のオスたちの力関係も見えてきました。私たちは、力の強いオスに密着、2頭の巨大なオスが「王座」をめぐって命がけで戦う決定的瞬間にも遭遇しました。姿を見ることすら難しいオス。迫力満点の戦いの映像は、本邦初のスクープ映像です!その戦いを詳しく見てみると、力だけに頼らない、オスたちの意外な戦術が明らかになっていきます。

オスたちは森の中でどんな暮らしをしているのか?なぜ奇妙なダンスを踊るのか?これまでほとんど紹介されたことのなかったオスのヒグマたちの生きざまに初めて迫る、驚きと感動の物語です。

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取材こぼれ話

北海道・知床 ヒグマの楽園 編

すべてのヒグマに名前をつけて大調査!

リンダ、キリコ、リッチ、ハッチ、クサビ、ドラム・・・
これらはみんな、知床の野生のヒグマたちに付けられている名前です。名付け親はこの地で長年、ヒグマの生態を観察し続けてきた研究チーム。これまで百頭を超えるヒグマたちのDNAを採取して親子関係を調査。誰がいつ生まれて誰と誰の子で・・・といった基礎情報を集めながら観察を続ける中で、こうした名前が付けられてきたんです。
ヒグマを見分けるポイントは、胸元の模様など毛の色。私たちも最初はほとんど見分けがつかなかったんですが、皆さんと観察を続けているうちに少しずつ、1頭1頭の性格まで手に取るように分かるようになってきました。
こうして野生のヒグマを個体識別し、親子関係まで把握しながら観察を続けている例は、国内はもちろんのこと、海外でも極めて少ないんだそうです。これも自然豊かな知床だからこそ出来ること。
このフィールドに私たちも1年、また1年と通い続けるうちに、気づいてみると足かけ6年、撮影を続けることになったんです。

超シャイなオスをどう撮るか?

そもそもヒグマのオスというのは警戒心が非常に強く、本当に人前に姿を現さないんです。撮影地に1年間通い続けて、たった1回、しかも1〜2分しか撮影出来なかった、という年さえあるほど。ですから、オスをテーマに番組を作るということだけでも、いかに無謀な賭けであったか、ということがお分かりいただけるのではないかと思います。
そのオスを撮影するため、今回威力を発揮したのが、動物が近づくとセンサーが反応して自動で撮影してくれる無人カメラでした。これをオスが暮らしている森の中、あちこちに設置。すると撮影できたのが「謎の腰ふりダンス」だったんです。立ち上がると3mにもなるオスが、森の中、ノリノリで全身をくねらせながらダンスをする姿はとってもコミカル。今回のイチオシ映像のひとつです。
そして一番の見所が、奇跡的に撮影することができたオス同士の戦いです。めったに姿を現さないオスが波打ち際に2頭も出てきて、突然、戦いを始めたんです。とにかく予想のつかない出来事だったので、心底驚いたものです。しかもあとで映像を研究者と確認したところ、この2頭は撮影地周辺の「王座」を争っている2頭であることが判明。この映像が、今回の番組の「核」となるシーンになったんです。