密着!アリの空中城

第400回「密着!アリの空中城」

2015/2/22(日)午後7時30分~

カンボジアにある世界文化遺産のアンコール遺跡は、9世紀から16世紀にかけて栄えた王朝の都の跡。最も有名なヒンドゥー教の寺院、アンコール・ワットなどを中心に、世界中から観光客が訪れます。

この遺跡の中にある開けた林で大繁栄しているのが全長8?ほどのツムギアリ。群れごとに複数の木を縄張りとし、木の枝先に葉っぱをつなぎ合わせたボールのような巣をたくさん作って暮らしています。巣はこぶし大の小さなものから、直径30?もある大きなものまでバラエティーに富み、遺跡周辺の至る所で見ることができます。

ツムギアリたちは、どのように巣を作るのでしょうか?まず、たくさんの働きアリが仲間の体をくわえて連なり、「アリの鎖」を作って、葉と葉を引き寄せます。そこに一匹の働きアリが幼虫を抱えてやってきました。そして、幼虫が口から出す粘着質の糸を使って、葉と葉を器用に接着していきます。こうして葉っぱで出来たボールのような巣が出来上がっていきます。

数時間かけて丁寧に作り上げられる巣は、まさに「空中のお城」。機能的にもすぐれています。巣の中は外気よりも温度が低く、湿度が高くなっています。このため、巣の中で育てる幼虫やサナギを、暑さや乾燥から守ることができるのです。

この場所にツムギアリ多いのにはワケがあります。遺跡周辺の開けた林には食べ物を供給してくれる生きものが多いからです。まず、樹液を吸う昆虫・ツノゼミが出す甘い汁はアリの大好物。さらにツムギアリは、他の生きものを襲って食べるハンターでもあります。強じんなアゴとお尻から出す毒液を武器に、自分よりも大きな生きものも獲物にします。群れの仲間が力を合わせ、大きなガの幼虫や体長10?もあるトカゲも仕留めてしまう場面にも遭遇しました。

ところが、遺跡の林に君臨するツムギアリにも強敵がいます。それは、別の群れのツムギアリ。縄張りを巡って群れ同士が激しい争いを繰り広げるのです。強じんなアゴの力で相手を倒し毒液をかけるなど、容赦のない戦いによってたくさんの働きアリが命を落とします。そして、戦いに勝利した群れは、新たな縄張りの木に新しい巣を作り仲間を増やしていくのです。

空中に巣を作る珍しいアリの暮らしに密着し、その驚きの素顔に迫ります。

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取材こぼれ話

カンボジア・アンコール遺跡 編

炎天下の暑〜いロケ お楽しみは・・・

ツムギアリが活動するのは日当たりの良い木の枝先。ということは当然、それを撮影する私たちも直射日光の下、長時間じっとしていなければなりません。8月のカンボジアの日差しは強烈で、気温が40度を越えることもしょっちゅう。のどだってすぐに乾きます。そんな中、ロケ隊が楽しみにしていたのは1日おきにやって来るジュースの屋台!おじさんが取れたてのサトウキビをその場で搾ってくれるんです。注文する前は「ただ甘ったるいだけでは?」とも思ったのですが・・・。実際は、サトウキビの優しい甘みに加え、一緒に搾るライムの香りがとても爽やか!疲れた体を癒やしてくれます。どこへ行っても、その土地ならではの飲み物があるんだなぁと思いました。

遺跡観光のオプションに ぜひ「昆虫観察」を!

世界各地から観光客が訪れるアンコール遺跡ですが、おそらく周りに暮らすツムギアリに気づいている方はまずいないでしょう。かく言う私も、以前旅行で訪れた時にはツムギアリのことなどつゆ知らず、遺跡観光を楽しみました。でも「その気」になって探すと・・・本当にあちこちに巣があるんです!うっそうとした森ほど昆虫が多く暮らしているイメージがありますが、適度に開けた林が広がる遺跡周辺は、実は昆虫にとって住みやすい場所。日本では見られないような不思議で奇妙な虫、美しい虫たちも意外と簡単に見つかります。アンコール遺跡を訪れる機会があったら、ぜひ周りの木々や草花にも目をこらしてみてくださいね!