ニホンカモシカ 雪崩とともに生きる!

第371回「ニホンカモシカ 雪崩とともに生きる!」

2014/7/6(日)午後7時30分~

日本有数の豪雪地帯として知られる、石川県・白山連峰。その一角に位置する標高1365メートルのブナオ山が今回の舞台です。南斜面には、冬になると、国の特別天然記念物・ニホンカモシカが集まってきます。日当たりが良いため、雪がとけやすく、木の芽や草などの食べものが見つけやすいからです。生息密度は他の地域の倍近くになるといいます。

傾斜が40度近くもある急斜面をものともせず、雪をかき分けながら進んでいくカモシカたち。その秘密は足にあります。短く太い足は安定感抜群。そして、前後4つのひづめを巧みに使って、急斜面を上り下りするのです。そして、においを頼りに雪に埋もれた草を掘り出し、食べ始めました。カモシカは嗅覚もすぐれているのです。

カモシカにとって楽園のように見えるこの南斜面ですが、恐ろしい一面もあわせ持っています。日当たりが良く、斜面が急なため、雪崩が頻発するのです。一日に何度も発生する大規模な雪崩。最大時速200キロで押し寄せる、100トンにもなる雪のかたまりによって、毎年、数頭のカモシカが命を落とします。それなのになぜ、危険を顧みず、カモシカたちはこの南斜面に集まってくるのでしょうか?

実は、雪崩が起きると、地表の雪が流れ落ち、地表に生える草がむき出しになります。雪崩が起きた場所は、雪を掘り返す苦労もなく草が食べられる、格好の食事場所だったのです。

さらに、取材班は、ある一組のカモシカの母と子にも密着。感動的な子別れの場面の撮影にも成功しました。これまでほとんど紹介されることのなかったニホンカモシカの暮らしぶりは驚きの連続です!

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取材こぼれ話

白山国立公園 編

重い雪! 強い雪!

私たちがニホンカモシカの撮影で訪れたのは、豪雪地帯で知られる石川県の白山連峰。今回、雪国に滞在し、初めて知ったのですが、雪はとっても重くて、強いんです。例えば、1m四方の段ボールにびっしり雪を詰め込むと、重さは300キログラムにもなるんだそうです。なのに、屋根の上に積もった雪はそう簡単に落ちません。まるで、粘土みたいに雪同士が強い力でくっついているんです。でも、この雪の塊が、ひとたび落ちてきたら…。雪深い奥山での撮影は緊張の毎日でした。

いつ起きるか分からない雪崩を待って

雪が積もる度に、雪崩が起こるブナオ山の南斜面。とはいえ、雪崩が起きる瞬間のカモシカを撮影するのは至難の業。まったく予測ができないのです。撮影スタッフは何日間も斜面を見つめ続け、なんとかその決定的瞬間をものにすることができたのです。一方で、いつ起きるか分からない雪崩とともに生きるニホンカモシカの暮らしは、まさに危険と隣り合わせ。私たちが滞在中も雪崩に飲み込まれてしまったカモシカがいました。生きるか死ぬかは、運次第としか言いようがありません。一見、無謀とも思えますが…、これは何千、何万年と雪国で暮らしてきたニホンカモシカの生き方です。運命を山とともにするカモシカたちの姿、迫力の雪崩の映像とともに、ぜひご覧頂ければと思います。