東京 アナグマのキャンパスライフ

第351回「東京 アナグマのキャンパスライフ」

2014/1/26(日)午後7時30分~

北海道や沖縄をのぞく日本全国に生息するアナグマ。里山の森に暮らし、古くから身近な存在でしたが、詳しい生態はほとんど知られていませんでした。広大な範囲を動き回り、10個以上もの巣穴を掘って移動を繰り返すため、姿を捉えることが極めて難しかったのです。ところが最近、東京・三鷹市の大学キャンパスに、複数のアナグマが生息していることが確認されました。取材班は、研究者や学生の協力を得て、30台を超える無人カメラを設置。半年に及ぶ観察の結果、兄弟が協力して巣穴を掘ったり、オスとメスが求愛する様子など、貴重な生態の撮影に成功しました。さらに、キャンパスのアナグマたちが近隣の住宅地にも進出していることが判明。家族そろって庭で水浴びしたり、民家に忍び込んでネコの餌を失敬するなど、人の営みをも巧みに利用する、大胆でしたたかな素顔が見えてきました。秋、アナグマたちは冬ごもりに備え、キャンパスの森で木の実などを食べ、春の2倍近くまで体重を増やします。そんな頃、取材班はアナグマたちが不思議な場所に出入りしていることを発見。校舎の地下にある巨大な空間に集まっていました。お湯が流れる配管が通っているため、外に比べて気温が6℃も高くなっています。アナグマたちはここを冬ごもりの場所としてちゃっかり利用していたのです。謎に包まれていた動物、アナグマの素顔に迫る密着ドキュメントです!

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取材こぼれ話

東京・アナグマ 編

身近な未確認生物に接近

大都会・東京、しかも大学内でアナグマが暮らしていると聞き、現場に急行し撮影の準備を進めた私たち取材班。しかし撮影を始めて1か月、カメラマンが撮ることができたカットはわずか数カット。暮らしぶりはおろか、出会うことさえ難しい生きものであることを知りました。夜行性な上、複数の巣穴を持つため、居場所をつかみづらいのです。本来の生息地である里山でも、研究が進み出したのは3年ほど前から。長時間撮影が可能なハードディスクタイプのビデオカメラが出回り始めたためだということです。今回私たちが使ったのは30台以上の無人カメラ。静止画用や動画用、センサー付き、長時間録画用、赤外線用など、状況に応じて様々な無人カメラを使い分けることで、“スクープ”を連発することができました。

変化にとんだ大学の環境

約5カ月の取材を通じてわかってきたことは、アナグマにとって大学とその周辺の環境がとても多様であることです。キャンパス内の豊かな森、周辺の住宅地、校舎の地下空間・・・。行動圏内の色々な環境にうまく適応して暮らしていることが徐々にわかってきました。アナグマが東京の街中で生きられる理由は決して一つでなかったのです。