たくましきタンチョウ 新たな故郷を開拓中

第337回「たくましきタンチョウ 新たな故郷を開拓中」

2013/10/13(日)午後7時30分~

国の特別天然記念物・タンチョウが今、続々と人里に進出しています。アイヌの人々にサロルンカムイ=「湿原の神」と呼ばれてきたタンチョウ。本来、湿原でくらす鳥だが、北海道の十勝地方では道路の脇や人家の目の前に巣を作り、畑で子育てするものが急増しているんです。

しかし、住み慣れた湿原とは異なる、人里での子育ては苦難の連続。水辺が近くにないため、ヒナが生まれるとすぐに親子は食べ物を探して歩き回らなければなりません。また、獲物をとることのできる水辺は農業用の水路や川に限られるため、近くに暮らすタンチョウ同士の縄張り争いも頻発します。さらに、この辺りには、ヒナを狙うキツネなどの天敵が多いんです。ある日、親子が牧草地の近くの水路で食事をしていると、ヒナを狙って空からオジロワシが襲ってきます! 背の高いヨシが茂る湿原とは違い、ヒナが隠れることができません。親鳥は体をはってオジロワシからヒナを守ります。

天敵の危険にさらされ、仲間どうしの争いもあるこの場所で、なぜタンチョウは子育てをするのでしょうか? そのワケは畑の恵み。畑の近くに積み上げている堆肥の山にはたくさんのミミズがいます。このミミズがタンチョウの食べ物となっているんです。夏、麦の収穫のときにこぼれる落ち穂もタンチョウのごちそうです。水辺の少ない十勝の畑作地帯で、タンチョウたちはたくましく生きているんです!新たな生息地を開拓するタンチョウたちに密着します。

※画像クリックで拡大します

取材こぼれ話

北海道 十勝 編

開拓者たちの暮らす場所ってどんなところ?

今回の舞台は、北海道の十勝地方。どこまでも広〜い畑が広がっているんですが、地上からの映像だけではなかなか湿原との環境の違いがはっきりとわかりません。その環境をどう見せようかといろいろと頭を悩ませました。まずは高所作業車を使って高いところから撮影してみたんですが、そのスケールの大きさのため、まったく高さが足りず、湿原との違いが見えてきません。そこで挑戦したのが気球に乗っての撮影です。空高くから見ることで、畑がパッチワークのように連なる十勝地方ならではの環境を撮影することができたんです。それにしても、湿原とは大違いのこの場所で、タンチョウたちはよく生きているなと、改めてそのたくましさを感じた瞬間でもありました。