冬を生き抜け!北限のニホンザル

第270回「冬を生き抜け!北限のニホンザル」

2012/5/6(日)午後7時30分~

「スノーモンキー」。世界中の人がニホンザルをそう呼びます。サルの仲間のほとんどが、熱帯から温帯にかけての暖かい地域に生息する中、ニホンザルは地球上で最も北に暮らすサル。雪の中で生きている、非常に珍しいサルだからです。
そんなニホンザルの中でも、最北に暮らすのが青森県下北半島のニホンザルです。「北限のサル」として、国の天然記念物にも指定されています。

10年ぶりの大寒波に見舞われた今年の冬、雪深い森で、ある群れの暮らしに密着。極寒の地に生きる秘密に迫りました。
木の皮にかじりついて飢えをしのぎ、氷点下の日が続けば互いに抱き合って温め合うサルの群れ。

そんな中、生き残りのカギを握っていたのは、野生のニホンザルの平均寿命をはるかに超え、地元の人から「ハギおばあちゃん」と呼ばれるメスのサルでした。人間の歳にするとなんと100歳だといいます。
寒さが深まるにつれ、「ハギおばあちゃん」はあえて仲間の輪から外れていくという謎の行動を取るようになります。しかし、この行動のおかげで、群れの仲間たちは大助かり。
一体なにがあったのでしょうか?
どのサルよりも下北の自然を知り尽くした超ご長寿ザルの知恵が光ります!

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取材こぼれ話

青森県下北半島 編

世界最北限のサルの生息地 青森県下北半島

世界最北限のニホンザルが、いったいどのように冬を耐え抜いているのか。今年2月、下北半島での撮影を始めました。今年は大寒波。雪の量も例年の2倍と非常に厳しい冬。私たち取材班も、足もとをカンジキでかため、服もアンダーウェアからダウンジャケットまでバッチリ着込んで山に踏みいりました。ところが、山を登っていくと、汗がだくだく。体中の体温が上がっていきます。ようやくサルに出会えると、寒い中ではほとんど動かないサルを見つめて、私たちもジッとしているしかありません。今後はどんどん体温が奪われていきます。震えが止まらず、手足の感覚がなくなり、肩がこり、宿に帰っても冷えがとれない・・・。人間はこれだけ着込んでも寒くて仕方ないのに、ニホンザルは生まれ持った防寒具だけで耐え抜いている!我が身を持って、極寒を生き抜く北限のサルのすごさを思い知ることになりました。

このサルたちを追って、30年近く山に入り続けているのが、番組にも登場する動物カメラマンの松岡史朗さんです。今回のHPに掲載している写真の多くも、松岡さんが撮影されたもの。映像とは違ったサルたちの魅力をお楽しみ下さい。

穏やかな下北半島のサルたち

下北半島のニホンザルはとても穏やかです。取材した私自身、ニホンザルと言えば、食べ物を盗んでしまうような「いたずらもの」というイメージを持っていましたが、下北のニホンザルたちは私たちの荷物に興味すら示しませんでした。それが、人間のものであり、自分たちニホンザルのものではないことを知っているからです。

彼らに接し、感じたことは、私たち日本人によく似ている、と言うことです。日本の秋の豊かな恵みを体に蓄え、春の芽吹きをひたすらに待ちながら、木の皮をかじり、寒くなれば身を寄せ合い、ケンカすることもなくお互いを信頼し合いながらただ冬を耐えていく。高齢のおばあちゃんは仲間から頼られ、何十年たっても母と娘は気づかい合い、絆が消えることはない。その姿に、なぜかうらやましささえ感じてしまうほど、ニホンザルの群れは温かく、穏やかでした。

ニホンザルと人間がどうつきあっていくのか、それは全国的な課題です。今回の番組が、ニホンザルという私たちの隣人のことをよく知るための、一つのきっかけになればと思います。