スクープ連発!カメラマンはウミガメ

第250回「スクープ連発!カメラマンはウミガメ」

2011/10/30(日)午後7時30分~

絶滅危惧種のアオウミガメ。広い海を回遊して暮らしているため、「いつ、どこで何をしているのか」、その暮らしぶりは長い間、神秘のベールに包まれてきました。そこで京都大学では、ウミガメにカメラや発信機などの最先端の機械を取りつけて、ウミガメの目線でその生態を解き明かそうという画期的な研究プロジェクトを進めています。

そしてこの夏、大発見が相次ぎました。浮上と沈降を頻繁に繰り返し、陸と海底の地形を目で見て自分の位置を確認する遊泳法や、海底の岩陰に特定の寝床を決めて眠る睡眠法、そして潮の満ち干を読みながら行う食事法など・・・。さらに普段は単独生活をするウミガメが続々と集まってお肌のお手入れをする、まるで“竜宮城”のような癒しのスポットまで見つかりました。きわめつきのスクープ映像は、「ウミガメカメラマン」自らの恋の決定的瞬間。そして、数々の映像やデータから、広い海を回遊して成長するウミガメが、成長すると岸辺に近いたった1キロ四方の狭い範囲で暮らしているらしいことも分かってきました。

ウミガメ目線だからこそ初めて見えてきた知られざる素顔。ウミガメの保全にもつながる研究の最前線に密着し、カメカメラマンがとらえたスクープ映像を一挙に紹介します。

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取材こぼれ話

沖縄県・八重山の海 編

すべてが初チャレンジ!試行錯誤の“バイオロギング”

皆さんは「バイオロギング」という言葉を聞いたことがありますか?今、生物学の世界で最もホットな研究方法なんです。直訳すると「バイオ=生きもの」、「ロギング=データをとる」という意味。生きものの動きをデータ化できるセンサーやカメラなどをとりつけて、「生きもの目線」で生態や行動を解き明かします。これまで人間には観察できなかった海の中に暮らす生きものを中心に、世界各国で調査が進められています。知られざる生態を解明することで、生息地や環境を守り、生きものを保全することが研究の最終的な目的です。

バイオロギングに興味を持った私は、京都大学の研究者が八重山諸島でアオウミガメの調査を行っているという情報を得ました。ウミガメは乱獲や生息環境の変化によって、今、世界中で最も絶滅が心配される生きもののひとつ。番組でぜひ紹介したい!こうして研究者とともに“ウミガメカメラ”や、さまざまなセンサーの開発に乗り出しました。特注の“ウミガメカメラ”が無事に完成し、いざ調査開始!・・・ところが、設定した時刻とは全く違う時間にカメラが回り始めたり、ウミガメから切り離された後、台風の影響を受けて300キロも離れた沖合まで流されて回収できなかったり。トラブルの連続でした。なにせ初めての試みの連続。バイオロギングは、試行錯誤と失敗を繰り返しながら、ちょっとずつ成果を上げていくものなのだと実感したのでした。

超スクープ!ウミガメカメラマン“竜宮城”を発見!?

のべ2か月にわたる調査の結果、カメラやセンサーを取りつけて放流した13匹のウミガメのうち、5匹分の回収に成功しました。ワクワクしながら、研究者とともに映像をチェック。すると・・・まずは、見事に泳ぐ姿が映っていました。水中でのバランス感覚は抜群。色とりどりの珊瑚礁の間をすーっと抜けていく映像は、とにかく素晴らしい!のひと言。ウミガメの甲羅の上に載せたカメラの映像は、まるで私たちが浦島太郎になって海の中を見ているかのような錯覚に陥ります。ウミガメの目線だからこそ、どれだけウミガメの泳ぎが上手であるかを実感できました。

今回一緒に仕事をしたカメラマンは、ウミガメが撮った映像を見て、「負けた…」と何度つぶやいたことか。それほどウミガメカメラマンの腕前はプロ顔負けだったんです。それほど泳ぎ達者だったウミガメ。さぞかし得意の泳ぎで広い海を泳ぎ回っているのかと思いきや、意外や意外。岸の近くのごく限られた空間で暮らしていることが分かってきたんです。そこには深い訳がありました。ウミガメ自身がとらえた知られざる素顔。浦島太郎になった気持ちで、ぜひ、ご堪能下さい。“竜宮城”はあった!?んです…