“鳥の敵(かたき)”に化ける鳥

第249回「“鳥の敵(かたき)”に化ける鳥」

2011/10/23(日)午後7時30分~

日本有数の米どころ、秋田県大潟村。田畑を守るために植えられた防風林に、春、世にも奇妙な鳥が渡ってきます。キツツキの仲間・アリスイです。体の大きさはスズメほどですが、10センチもある細長い舌を持ちます。その長さから、「体の大きさに対して舌が最も長い鳥」というギネス世界記録を持つほどです。この舌をアリの巣に高速で出し入れしてアリを吸い取るように集めることから、アリスイの名が付きました。5月、アリスイは木の幹に開けられた巣穴で子育てを始めます。しかし自分で巣穴を掘れない鳥たちが、アリスイの巣の横取りを狙います。ある日、コムクドリがアリスイの巣の偵察にやって来て、頭を突っ込みました。すると突然、アリスイが首をクネクネとくねらせ始め、壁に頭をはわせるようにしてコムクドリに近づいたのです。コムクドリはなぜか慌てて退散。いったい何が起きたのでしょうか?実は、アリスイが見せた奇妙な行動は、ヘビをまねたものと考えられています。アリスイは「鳥が最も怖がる敵」に化けることで邪魔者を追い払い、ヒナと巣穴を守ったのです。番組では、大潟村の美しい田園地帯に広がる防風林を舞台に、様々な鳥が繰り広げる巣穴争奪戦の悲喜こもごもを交えながら、知られざる日本の珍鳥・アリスイの不思議な暮らしに迫ります。

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取材こぼれ話

秋田県大潟村 編

本当に鳥? は虫類のような気になる姿

皆さん、「アリスイ」と聞いて、どんな姿の生きものを想像しますか?ほ乳類のアリクイの仲間?アリを吸い込む妖怪?いえいえ、実は鳥の仲間です。これを知っている人はかなりの鳥ツウですね。

アリスイが鳥らしからぬ点は、名前だけではありません。その姿も変わっています。ちょっと不気味な縞模様、鱗のような柄、ぬっと長い首、そしてチョロチョロ伸びる細長い舌!目立たない地味な鳥なんですが、異様な雰囲気はとっても気になります。今回、私たちが取材を始めたきっかけも、は虫類のような姿に強いインパクトを感じたからでした。

実際にアリスイの暮らしに密着してみると、想像していた以上のことが起きました。異様な容姿に加えて、奇妙な動きを始めたんです。しかも、ある意外なものに化けていると言います!番組では、アリスイの奇妙な“変身”の様子もたっぷりお伝えしますので、お楽しみに!

広すぎます!大潟村 周囲50キロの村をグルグル

今回の撮影では、私たちの前に大きな困難が立ちはだかりました。それは大潟村の広さです。大潟村は、日本で2番目に大きかった湖・八郎潟を干拓して作った広大な村です。周囲は約50キロ、山手線の内側と同じくらいの面積があります。

今回、私たちは広い村内に点在する約50か所ものアリスイの巣を観察しました。地元のバードウォッチャーの方にも協力してもらい数人で手分けしたのですが、それでも大変。車の走行距離は、1日で140キロを越えることもありました。でも皆さんのご協力のお陰もあって、アリスイの様々なドラマを目撃することが出来ました。