命あふれる日本(3)大追跡! 幻のツシマヤマネコ

第213回「命あふれる日本(3)大追跡! 幻のツシマヤマネコ」

2010/10/31(日)午後7時30分~

生物多様性に富んだ日本の自然を3週にわたって紹介するシリーズ「命あふれる日本」。第3弾は長崎県の対馬にすむ絶滅寸前の野生ネコ、ツシマヤマネコです。今回、謎に満ちた暮らしぶりを大追跡。けもの道に自動カメラを設置して、神出鬼没のヤマネコを狙うなど、一年にわたる長期取材を敢行。次第にその姿が明らかになってきました。森でネズミを襲い、湿地で水鳥を狙う野性味あふれる狩り。さらに、田んぼで子育てする姿まで初めてテレビカメラで捉えることに成功しました。対馬の自然を存分に利用して生きる、幻のツシマヤマネコの素顔に迫ります。

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取材こぼれ話

長崎県対馬 編

1年間の大追跡!

長崎県の離島、対馬に着いてビックリ。地元で尋ねて回っても、ツシマヤマネコを見たことがある人、ほとんどいなかったんです。研究者をはじめ、実に多くの方から、「撮影は不可能では?」という声が・・・。撮影を開始した1年前、不安で頭がいっぱいでした。

その困難に立ち向かうべく、長期取材で臨みました。そして、強力なパートナーにも協力をお願いしました。ツシマヤマネコの保護や調査を行なっている、環境省対馬野生生物保護センターです。謎だらけの暮らしぶりを解き明かすべく、共同プロジェクトをスタートさせたんです。

撮影の第一歩は、野山にしかけた監視カメラ。動物が通ると自動で撮影してくれるスグレモノです。保護センターが積み重ねてきた知識とデータをフル活用し、カメラをいくつも設置しました。でも・・・。なかなか映らないどころか、暑さや寒さや、雨などでトラブルが連発。保護センターの方々には、度重なるメンテナンスにくわえ、カメラの電池交換などで何度も助けて頂くなど、センターの皆さんの熱い思いにずいぶんと支えられました。

一方、撮影隊は、朝晩を問わず様々な撮影を試みました。車で山奥の林道をサーチライトで照らしながら探す作戦や、山奥に置いたテントに隠れてヤマネコを待ち構える作戦など。

こうした地道な努力の甲斐あって、最初は成果のあがらなかった撮影も、徐々にヤマネコの姿をとらえるようになりました。かわいい子ネコの撮影にも成功したんです。初めて見えるツシマヤマネコの素顔、どうぞご期待下さい。

日本の宝 絶滅から救えるか

1年にわたる撮影の途中、傷ついたツシマヤマネコが発見される緊急事態が起きました。地元の人から「弱っているヤマネコがいる」との通報を受け、対馬野生生物保護センターが救出に当たりました。幸い対処が早く、一命をとりとめることができました。

けれども過去には、害獣用のワナにかかって大怪我をしたり、交通事故にあって助からなかったりしたことも多かったといいます。ツシマヤマネコは現在、たった100匹前後しか残っていません。国の宝ともいえる天然記念物に指定されながら、絶滅寸前と見られています

減少の原因は他にもあげられています。人間による植林や土地開発、そして天敵となる野犬の存在など。最近では、飼い猫から病気がうつることが明らかになり、大きな問題になっています。ツシマヤマネコの暮らしは、厳しくなるばかりです。

でも、絶滅の危機からツシマヤマネコを救おうと、大きな動きも始まっています。九州の獣医が力を合わせ、飼い猫からヤマネコに感染病がうつらないようにする取組みや、全国の動物園にヤマネコを飼育してもらい子孫を残そうという大プロジェクトが進められています。さらには、地元住民の手で"ヤマネコのえさ場"を増やそうという活動も行われています。減りつづけるツシマヤマネコを救おうと、力を尽くす人はたくさんいるんです。

それでも保護活動は足りないという声も多く聞かれました。でも、厳しさを増すヤマネコの現状が全国に伝わり、活動がさらに盛んになれば、いつまでも対馬でツシマヤマネコが生き続けられるかもしれません。まずは番組を通じて、ツシマヤマネコがどんな動物なのか、知っていただければと思います。