一発必中!ナゲナワグモ

第201回「一発必中!ナゲナワグモ」

2010/7/25(日)午後7時30分~

専門家でさえ「幻」と呼ぶ超貴重動物ムツトゲイセキグモ。一本の糸を「投げ縄」のように回し、獲物をしとめる独特のハンティングから、「ナゲナワグモ」の異名を持ちます。
この「投げ縄」、先端に粘着性の高い球がつき、球が獲物にくっつくと、相手が暴れても伸び縮みして決して離れません。闇夜に飛び回る“ある決まった獲物”を確実にしとめるため、究極の進化を遂げた狩りなんです。
幻の名ハンターの秘密を美しく幻想的な映像で解き明かします。

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取材こぼれ話

東京の里山&福島の公園 編

寝ても覚めても…。ひたすら続くクモとのにらめっこ

ナゲナワグモこと、ムツトゲイセキグモを主役に据えた番組を作る。
それが決まってからというもの、同僚のディレクターたちが私にかけることばは「ホントに大丈夫!?」「番組になるの!?」と私を不安にさせることばかり・・・。
確かに、撮影が始まる前から番組化にはいくつもの壁があることが分かっていました

第一に、ナゲナワグモはとっても発見例が少ない生きもの。その珍しさは専門家でさえ「幻」「一生に一度目にすることができるかどうか」というほどです。たとえ発見できたとしても、クモは生きもの。どこかへ移動し姿を消してしまった場合はどうなるんでしょう?

第二の問題がナゲナワグモの「大きさ」。成体でさえわずか1センチほど。卵のうから出てきたばかりの子どもともなると、体長はわずか1ミリしかないといいます。あまりの小ささに、肉眼ではただの黒い「点」にしか見えないほど。撮影にはかなりの技術が要求されます。

第三に、ナゲナワグモの狩りは、夜、まっ暗闇の中で行われることが多いんです。撮影のため光を当てると、ナゲナワグモは警戒し、狩りを始めてくれないかもしれません。どのくらいの照明にすれば、クモを驚かさず、且つきれいな映像も撮れるのか?・・・撮影はこうした困難を一つ一つ乗り越えていかなければなりません。
今回、撮影を担当したのは長年に渡り数々の生きものを追い続けてきたベテランカメラマン。毎日、日暮れとともにカメラをセット。あとはひたすらナゲナワグモとのにらめっこを続けます。たとえナゲナワグモが思い通りに活動をしてくれなくても、動じることはありません。何の動きもないまま夜が明けてしまう、なんていうことも多々ありながら、あきらめることなく粘り強く撮影を続けました。
また、東京蜘蛛談話会をはじめ、全国のクモ愛好家の方々のネットワーク、そして正確で詳細な情報にはとっても助けられました。この場を借りてお礼を申し上げます。

4月、桜咲く頃に撮影を開始した私たちが、無事、ナゲナワグモの狩りの映像をおさめることができたのは、夏も終わりに差し掛かった8月末。あたりに吹く風はもう肌寒く、秋の気配が漂っていました。

知れば知るほど、驚きがいっぱいのナゲナワグモ。たった一本の縄を頼りに、たくましく生き抜く小さな命に、すっかり魅せられてしまいました。