シリーズ アフリカの珍獣(2)武勇伝!ラーテル

第151回「シリーズ アフリカの珍獣(2)武勇伝!ラーテル」

2009/5/31(日)午後7時30分~

アフリカ珍獣シリーズ第2回は、ラーテルが登場。体長90センチほどのイタチの仲間で、サハラ砂漠以南のアフリカからインド沿岸部までの広範囲に生息しています。主に夕方から朝にかけて行動し、いつも違った巣穴で休むため見つけにくく、生態にはまだまだ謎が多いのです。気性が荒いラーテルは、「世界一怖いもの知らずのほ乳類」として知られています。猛毒のコブラを襲って食べ、ライオンの群れすら追い払います。一見向こう見ずな行動を可能にしている秘密は、分厚い背中の皮。コブラの毒牙や肉食獣の鋭い歯も通しません。まるで装甲車のような動物なのです。しかも背中の皮はぶ厚いだけでなくダブダブでよく伸びるため、万が一、猛獣に背中を噛みつかれても、ぐるっと後ろを振り向いて噛みつき返し、相手がひるんだ隙に逃げることが出来ます。勇猛果敢なラーテルの敵は、実は暑さと乾燥。木陰の冷たい砂を体にかけて涼み、野生のスイカで喉を潤して乾燥に耐えます。番組では、これまでラーテルがもっとも多く観察されているアフリカ南部の乾燥地帯を中心に、ラーテルの知られざる生き方をじっくり見つめました。コブラ狩りを始め、ライバル・ヤマアラシとの因縁対決など、ラーテルの武勇伝の数々を紹介します。

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取材こぼれ話

南アフリカ・カラハリ砂漠 編

お世話になったご夫婦 

取材の際には、必ず現地の方々にお世話になります。事前に調査を重ねてから現地に赴きますが、全てが初めての土地の場合もあります。今回のカラハリ砂漠がある南アフリカは、私にとって初めての取材地でした。 今回お世話になったのは、30代半ばのドゥ・トイットさん夫妻。奥さんのジャネットさんはラーテルの研究者。ご主人のジャックさんは国立公園のレンジャーです。南アフリカでは、子供は最初に消防士にあこがれ、次にレンジャー、その後に自分の道を歩むのだとか。ジャックさんも例にもれずレンジャーにあこがれ、目的を達成したそうです。現在は、実地のレンジャーではなく、ケープタウンの管理事務所で国立公園全体を管理する仕事についているエリート。今回は特別に我々に同行してくれました。 この二人と共に35日。毎日早朝から日没までラーテルを求めて走り続けました。ドゥ・トイット夫妻はとにかく動物を探すのが巧みです。いかに長く動物と共に暮らしているかわかります。結構なスピードで走りながら車窓の小さな動物を次々と探し出して行きます。体が白黒のラーテルはもとより、遠くのオオミミギツネ、日陰のリビアネコ、地面と同じ色のハイエナ、果ては穴に潜むネズミ、草陰のサソリ・・・そのおかげで、撮影地は砂漠だというのにたくさんの動物に出会い、撮影することができました。 早朝からの取材が一段落すると、朝食時間。2人が朝食も作ってくれます。ほっとするひと時です。

実は保護が必要なラーテル

今回番組でご紹介する「ラーテル」は、あまり有名な動物ではありません。 撮影に出発する前。A「今度どこに行くの?」私「南アフリカ」A「ふ〜ん。で、動物は何?」私「ラーテル」A「?何それ?何処?」こんな会話が何度となく繰り返されました。 しかし、南アフリカには相当数暮らしているようで、あちらこちらで人間との摩擦が問題になり始めています。ラーテル持ち前の激しい気性で放牧されている羊や牛を襲ったり、ハチの幼虫がこよなく好きで養蜂場の巣箱を荒らしたりしているようです。人間の暮らす範囲が徐々にラーテルの生活圏にまで及んでしまったからです。ラーテルの防衛策として、農民はラーテルを射殺したり毒やワナをしかけたりしたので、数が減り続けています。それを受けて、南アで10年前から保護活動が始まりました。今回の研究者のジャネット・ドゥ・トイットさんもケープウェスト生物保護区で調査だけでなくラーテルの保護活動を積極的に行っています。ケープウェスト生物保護区では、養蜂場のハチの巣箱をラーテルの届かない高さまでかさ上げする方法を採用し、その工事に補助金を出しています。効果は出ており、こうして作られた蜜にラーテル印のステッカーを張る運動を展開しています。ラーテル印の蜂蜜はラーテルを保護している証と言うわけです。

どこまでも平らな南アフリカの大地

撮影も終盤にかかり、ケープタウンの近くに移動することになりました。最初『800キロの移動』と聞いていた我々は、どこかに1泊するものと考えていました。ところが良く聞くと1200キロあると言います。これは青森から大阪までとほぼ同じ距離です。しかし、この段階で撮影のスケジュールは相当遅れています。「2泊は取れない」と思い悩んでいると、ジャネットは「大丈夫!夜にはケープタウンにつくから・・・」私は、そんなに無理をしなくともいいから途中泊まりましょう、と提案しました。 走りだして驚いたのは、南アの道路はきちんと舗装されていて良い状態な上に、ひたすらまっすぐで町を通過するとき以外は曲がらない、ということです。これには驚きました。なるほど、これなら1泊で済むかも・・・少し安心しました。結局、朝の8時に出発し、昼食も十分にとって、夜7時半には無理なく目的地に到着しました。なるほど!!ジャネットが言っていたのはこのことか!と感心した次第です。