走れ!カメレオン

第119回「走れ!カメレオン」

2008/10/5(日)午後7時30分~

果てしなく砂丘が広がるアフリカ南部のナミブ砂漠。ここに奇妙なカメレオンが暮らしています。世界で唯一砂丘に暮らすカメレオン、ナマクアカメレオンです。普通カメレオンといえば、森の樹上でゆったりとした生活を送っています。しかし、ナミブ砂漠の年間降水量がわずか10ミリ程度。1日の気温差が40℃以上にもなり、生きものが暮らすには過酷な場所です。水不足を克服するためにナマクアカメレオンが発達させたのが足。カメレオン界最速のスプリンターと言われ、スピードは時速5キロ。体長15センチという小さな体で人間の歩行速度を凌ぐほど。砂を巻きあげながら虫を追いかけて疾走する様は、のんびりとしたカメレオンのイメージとは大違い。この足を活かして、砂丘に暮らすゴミムシダマシという昆虫を追いかけます。ゴミムシダマシは、砂漠に発生する霧を体に付着させて水滴に変え、その水を飲んで体の中に水分を保持しているのです。ナマクアカメレオンはゴミムシダマシを食べて水分を得て暮らしているのです。さらに、1日の中での激しい気温差に対抗するための技が、体の色を変化させること。朝は氷点下になり、昼も40℃を超えることもあります。寒いときには体の色を黒く変えて太陽の熱を吸収しやすくなり、暑くなると体の色を白く変えて光を反射し体温が上がりすぎるのを防ぐのです。番組では1匹のメスカメレオン、「モモ」が主人公。襲いかかる他のカメレオンを一喝し、近づいてきたヘビを撃退します。実は、モモが勇気を振り絞ってここまで闘うのには秘密があります。木の上からしゃく熱の砂の上に降り立ち、自分の生きる道を勝ち取ったカメレオンの新伝説。

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取材こぼれ話

ナミビア・ナミブ砂漠 編

カメレオンのイメージ

両眼がくるくる動いて、木の上をのんびり歩き、突然舌を伸ばして獲物を捕る。 皆さんはカメレオンに対してこんなイメージを持っていませんか? かくいう私も、そう思っていました。そう、あの日までは…。 その日、私は2歳の長男を寝かしつけ、自宅で妻と一緒に海外の番組をザッピングしていました。画面にチラッと映った奇妙な動物。「なんだあれは…?」確かにカメレオンだったような気がします。でも、砂丘の上を歩いていたし、カメレオンにしては何だか素速い。トカゲか何かと見間違えたんだろうか? 翌日。早速調べてみると断片的ながらいくつか情報が集まりました。 ・どうやらあの動物は確かにカメレオンで、ナマクアカメレオンというらしい。 ・ナミブ砂漠に住んでいて、砂丘を走り回る甲虫を食べて暮らしているらしい。 ・とってもどう猛なカメレオンで甲虫を走って食べるらしい。 面白い!とにかく変なカメレオンであることは間違いなさそうだし、番組になるかもしれない。そうすれば砂漠に行ける…(砂丘を思いっきり走り回るのが私の子どもの頃からの夢だったんです)。 こうして、砂漠カメレオンの企画は立ち上がりました。

に、荷物が…

晴れて企画が通り、日本を出発したディレクターの私とカメラマン。成田からチューリッヒ(スイス)とヨハネスブルグ(南アフリカ)を経由して、ナミビアの首都ヴィントフックに到着するまで、ちょうど24時間のフライトで計32時間の旅。あこがれの砂漠の国ナミビアに到着した時には、期待で一杯。長時間の移動の疲れやロケへの不安なんて全くありませんでした。そう、これまたあの時までは… 私たち二人は、預けた荷物が運ばれてくるのをヴィントフックの空港で待っていました。「さあ、荷物を受け取って通関をすませば、砂漠を見られる!」なんて期待に胸を膨らませながら。 ところが待てども待てども荷物が出てきません。ほかの乗客たちは次々に荷物を受け取り、どんどん空港からいなくなります。そしてようやく1つ。全くすかすかのベルトコンベアーの上にぽつんと乗って流れてきたのはカメラマンの私物バッグ。あれ…? 私たちは成田で9つの荷物を預けたんです。ナミビアまでスルーで流してくれ!と何度も念押ししました。ヨハネスブルグの空港でも職員に確認し、「OK!大丈夫だ」と言っていたはず…。これは一体どういうことなのだろう?でも、機材がないと仕事が出来ません。とにかく届くまで待つしかない、ということで空港で4時間待ったところ、ようやく次の便で荷物が届きました。よかった〜、これであまり予定は崩さずにすみそうだ、そう思って荷物を受け取ると、7つしかありません。9つ預けたうち、先ほど1つ受け取って、今回7つ。1つ足りません。泣きそうになりました。足りなかったのは私の私物です。でも、まあそれなら仕事は出来るかということで4時間かけてロケ地の街まで陸路移動。着いたのは夜8時になってしまい、この日は砂漠を見る夢は叶いませんでした。 結局私の荷物が届いたのは、それから4日後。毎夜下着を洗い、はきつないで?何とか耐えることが出来ました。届かなかったのが機材ではなく私の私物だったのは、ラッキーだったな、なんて思えるようになったのはつい最近のことですが。

暑かったり寒かったり

「砂漠」=「暑い」。大きな木がなく、日差しを避けられない砂漠では体は一瞬にして真っ黒!砂漠をなめきっていた私は日焼け止めもぬらずに半袖短パンで撮影していたので、2、3日もすると皮がむけてくる有様でした。さらにそのはるか上をいっていたのがカメラマン。完全に私たちは国籍不明の外国人と化し、道行く人々から「鉱山で働いているのか?」「お前達はボリビア人か?」と毎日のように(本当に毎日なんです!)聞かれて、ややウンザリ。どうにかならないのか、この暑さ…。と思ったら数日後には突如涼しく、いや寒くなるんです。長袖長ズボンどころではなく、その上にトレーナーを着てさらにフリースを着込んで。日焼けどころじゃなく、カイロが必要な寒さです。 これだけ天候がコロコロ変わるのも、ナミブ砂漠ならではなんです。原因は、砂丘を覆う霧!しかも、この霧とカメレオンには深〜い関係があるんです。 これについてはぜひ番組をご覧下さい!!

一日の始まりは…

毎朝ロケ地について真っ先にすること。それはカメレオン探しです。ディレクター、カメレマン、コーディネーター、ドライバー、全員が散らばって砂丘や点在する茂みの一つ一つを丹念に探します。寒い朝は茂みの中に隠れていることが多く、最初は1匹見つけるのに1時間以上かかってしまいました。でもそこに地元のガイドが加わると状況は一変します。「昨日はあそこにいたから今日はこのあたりだ!」と言い放つと、何やら地面をじっくりと見つめます。そしてスタスタ歩いて、「いたぞ!」。彼らが手がかりにしているのは足跡。最初は神頼みのようにガイドが来るのを待っていた私たちですが、「進化」ってすごいもんです。1週間ほどじ〜っとカメレオンを観察していると、私も足跡から進行方向を割り出し、簡単に見つけられるようになりました。ロケも終盤になると、ツアー客を連れてきたガイドにカメレオンの居場所を教えるまでになりました! ここでクイズ!以下の足跡、何の動物だと思いますか?

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ちょっと話がそれますが、ナミブ砂漠は世界一古い砂漠と言われています。長い時間の中でたくさんの生きものが砂漠の環境に適応してきました。しかし、闇雲に歩いていても生きものはなかなか見つかりません。先ほども触れましたが、砂丘で生きものを見つけるための一番の手がかりは足跡。ガイドはこの足跡から、いつごろこの場所をどちらに向かって歩いたのかを判断します。 ここでクイズ!以下の足跡、何の動物だと思いますか?

決死の砂丘登り

ナミビアの砂丘は、世界の砂丘の中で一番高いと言われています。GPSで測定したところ、一番高い砂丘で340m!私たちは、景色を撮影するために280mの砂丘に登りました。280mというと、「何だ〜、大したことないなあ」と思われる方も多いと思います。確かに高さはしれているのですが、登るのはハンパじゃなく大変なんです。何せ足場はさらさらの砂。しかも背中にリュックを背負い、肩には三脚。3歩進んで2歩戻る、息はゼーゼーハーハー、後ろを振り返って進んだ距離を確認するとがく然としてしまいます。頂上に着いた時にはぶっ倒れて、しばらく身動きひとつ出来ませんでした。でもその甲斐あって、頂上から見る夕日は最高でした。延々と続く「砂の海」に沈む夕日は美しかったなあ〜。 中でも一番の人気者はやはりカメレオン。砂丘とカメレオンという、全くマッチしない組み合わせが人気の秘密のようです。

今回の撮影を通して感じたのが、生きものの適応力の高さ。あれだけ過酷な環境の中でも、自分たちの生きるすべを見いだしてたくましく生き抜いている姿は本当に胸を打つものがありました。みなさんにも、カメレオンの必死な姿を見て、何か感じていただければと思います。

ナミビアでひっそり生きるカメレオン

ナミビアは1990年に独立した、とても若い国です。かつてドイツの植民地だったこともあり、町並みはまさにヨーロッパ!そしてレストランの料理もヨーロッパ風。 日本からナミビアに出かける人は多くありませんが、ヨーロッパでは観光地としてとても人気があります。砂漠のツアーに来るお客さんもほとんどがヨーロッパからの観光客。 中でも一番の人気者はやはりカメレオン。砂丘とカメレオンという、全くマッチしない組み合わせが人気の秘密のようです。

今回の撮影を通して感じたのが、生きものの適応力の高さ。あれだけ過酷な環境の中でも、自分たちの生きるすべを見いだしてたくましく生き抜いている姿は本当に胸を打つものがありました。みなさんにも、カメレオンの必死な姿を見て、何か感じていただければと思います。