第109回「"氷のクマ″極北の暑い旅」

2008/7/13(日)午後7時30分~

北極。ノルウェーの北、北緯79度。北極海に浮かぶスバルバル諸島はホッキョクグマの王国。およそ2000頭、全世界のおよそ1割がここに暮らします。そのひとつ、スピッツベルゲン島が今回の舞台。
春になると、島を取り囲むように流氷ができます。ホッキョクグマは、子育てのために流氷に集まってくるアザラシを捕まえ、極寒の地を生き抜いてきました。狩りは豪快です。流氷にぽっかり開いた穴で待ち伏せし、アザラシが息継ぎのために出てきたところを一気に襲います。アザラシが沖に逃げたときには、流氷を渡り廊下代わりにして追いかけます。ホッキョクグマは、春の間に20〜50頭ものアザラシを狩って、たっぷりと脂肪を蓄えます。
極北の地、スピッツベルゲン島では一年の半分が冬。8月中旬ともなると雪が降り始め、雪解けの4月まで、氷点下46℃にも達する厳しい寒さとなります。ホッキョクグマは、妊娠しているメスを除いて冬ごもりをしない。食べ物もほとんどなく、蓄えた脂肪だけが頼り。冬の間に、体重は半分に減るといいます。冬を越せるかどうかは、春にいかにたくさんのアザラシを食べられるかにかかっています。
ところが、ここ数年、異変が起きています。温暖化の影響で、ホッキョクグマが狩りを始める時期に、島の周囲の流氷がとけてなくなってしまったのです。子育てに来るはずのアザラシも来ません。ホッキョクグマは、食べ物を求めて旅に出ます。
夏、島には、たくさんの渡り鳥がやってきます。親鳥に攻撃されながらも、何とか卵を食べて飢えをしのぎます。めったに狙わないトナカイにも挑戦。しかしトナカイの走りに追いつくことはできないばかりか、北極には異例の暑さが、寒冷地に適応したホッキョクグマの体力を奪います。
出発地から150キロも移動し、いよいよ夏も終わろうとするころ。海岸に不思議なものを見つけます。巨大なマッコウクジラの死がいでした。冬を越すには十分の獲物。食べ物を探して、同じように旅をしてきた他のクマたちも続々と集合します。しかし、このマッコウクジラも、海水温の上昇に伴い、迷い込んで命を落としたのかもしれないのです。
2040年には、北極の氷はなくなるだろうという予測されています。絶滅が心配されているホッキョクグマの、地球の変化に翻弄される旅が続きます。
ミニコーナーでは、ホッキョクグマがいかに極寒の地に適応しているか、その秘密を徹底解剖。白く見える毛が透明なことや、赤外線カメラで撮影した防寒の秘密を紹介。
ダーウィンニュースは、2007年4月にダーウィンニュースで紹介した、お腹にヒレを持つイルカ「腹ビレイルカ」の続報。今回は、腹ビレが動くかどうかに注目。もし動けば、陸上のほ乳類がクジラ・イルカに進化したときに、後ろ足が消えた謎を解く手がかりになります。

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