人が大好き!ツバメ

第079回「人が大好き!ツバメ」

2007/11/18(日)午後7時30分~

誰でも名前は知っている鳥「ツバメ」。軒先で子育てをする姿をみなさんも一度は見たことあるはず。番組では、視聴者の皆さんからツバメの情報を大募集。全国各地から150近い情報が寄せられました。その情報をもとに、ツバメの子育てに密着。最新のハイスピードカメラを駆使し、最高時速200Kmという猛スピードで飛び回るツバメの驚きの行動の一部始終の撮影に成功しました。高速で水に飛び込み激しいしぶきを上げながらの豪快な水浴び。愛らしい姿からは想像できない、空中でのオス同士の取っ組み合いの大げんか。トンボやアブなど飛ぶ虫を超高速で捕らえる見事な瞬間技を紹介します。
また、世界中に分布するツバメですが、子育てをするのは必ず人のそば。軒先だけでなく、家のリビング、さらには移動する船の上まで。人がいればどこにでも巣を作ってしまいます。番組の主な舞台となる新潟県上越市は、「雁木(がんぎ)」と呼ばれる独特の町並みが、ツバメの巣作りにちょうどよいため、町の中心部だけで300もの巣があります。ときには人のそばで暮らすがゆえの危険がヒナに襲いかかります。虎視眈々(たんたん)と卵やヒナを狙うカラスや、巣の前をひっきりなしに行き交う車。ヒナは無事に生き延びることができるのでしょうか? そもそもなぜ、ツバメには人が必要なのか? 私たちのすぐそばにいながら全く知らなかったツバメの新伝説です!

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取材こぼれ話

新潟・上越市 編

ご協力ありがとうございました

今回の番組では、7月から番組をご覧の皆さんにツバメの情報を募集してきました。放送直前まで数多くの方からメールやお便りをいただきました。本当にありがとうございました。 自宅に巣を作ったツバメの様子を写真で送っていただいた方や、自作の絵本を送っていただいた方などなど。たくさんの情報を本当にありがとうございました。情報を整理してみると、多かったのが駅や学校など一日中人の多い場所で暮らすツバメ。やはりツバメは人が多い場所が好きなんだなと改めて感じました。 また、ツバメが巣をかけやすいようにと台を取り付けている人、ヒナが落ちても大丈夫なようにと巣の下にクッションを敷いている人、カラスに襲われないように檻(おり)を作った、フンよけにビニール傘をうまく利用した人などなど、みなさんツバメのためにいろんな工夫をしているツバメへのやさしさが伝わってくるものばかりでした。本当にありがとうございました。

ツバメの町 上越

日本中どこにでもいるツバメ。みなさんも一度は、軒先などで子育てをしている姿をご覧になったこともあるはずです。あまりに身近な生きものだけに、どこでも撮影できる半面、どこで撮影すれば最もツバメらしい姿が見られるのか。今回メインの撮影地をどこにするかでとても悩みました。都心の銀座から、北関東の農村地帯、海べりの漁村いろいろな場所を見に行きました。そんな中、ツバメ研究を昔から続けていらっしゃる上越教育大学の中村雅彦先生にお話を聞きつつ、上越の町を案内していただきました。昭和30年代を思わせるレトロな町並。会う人会う人誰もがツバメを好意的に思っていらっしゃる様子はとても微笑ましいものでした。この町ならツバメと人の関係がうまく描けるかもしれない、そして上越へと通う日々が始まったのです。 撮影中は町の人たちには本当にお世話になりました。私たちのロケ地はお店の入り口の前や住宅の玄関前。撮影をしていると、家の人とついつい立ち話になって、いろんな方からお茶やお菓子をごちそうになったり、町のお話をいろいろと教えていただいたり・・・・。過酷な場所で粘るいつものダーウィンのロケとは大違いのとってもゆったりのんびりとしたロケでした。

次々に消えるツバメの巣!?

のんびりゆったり順調に進んでいたロケですが、予期せぬことが起こりました。なんと、ロケに行くたびに、撮影を続けてヒナの成長を見守っていた巣が消えてしまうんです。その犯人は、カラス。撮影しやすい巣=カラスにも見つかりやすい巣ということだったのでしょうか。抱卵の様子まで撮影し終え、ヒナの誕生を待って再び現地に入ると、巣は崩れツバメの姿はどこにもありません。その度に撮影する巣を変えるということの繰り返し、結局10個ほどの巣を撮影することになってしまいました。研究を続けている大学院生の長谷川さん・新井さんによると、今年はカラス被害がいつもより多かったんだそうです。 しかし、ツバメ大好きな上越の人々は黙ってはいません。網を使って、カラスの攻撃からツバメを守ることになったんです。でも、網でどうやって守ったのか?それは番組をご覧下さい。

あまりの速さに四苦八苦

ツバメの大好物は虫です。巣の側でヒナにエサを運ぶ様子を観察していると、親鳥は口いっぱいにトンボや羽アリやアブなどをくわえて戻ってきます。ツバメはこうした虫を飛びながら捕まえるんです。しかし、その瞬間を見た人は意外に少ないんじゃないでしょうか? みなさんご存知のとおり、ツバメはとても飛ぶのがとても速い。しかもツバメの大きさはわずか17センチ、獲物の虫に至っては、ほんの数センチ。田んぼの上空で昆虫を捕る様子は、肉眼で見ていても何をやっているのかさっぱりわかりません。ただ飛んでいるようにしか見えないんです。一体いつの間に虫を捕まえているのか、しかも、それを映像化するにはどうすればいいのか? 今回の番組で最大の難問です。そこで、威力を発揮したのは、番組ではすっかりおなじみになったハイスピードカメラ。とはいっても、高速で移動するツバメを画面に入れるには、カメラを振り回してツバメを追うしかありません。いくら最新のカメラとは言っても、自動的にツバメを追いかけてくれるわけではありません。ピントも露出もすべてマニュアル。カメラマンの苦闘が続きました。ロケ中は早朝から夕方まで重いカメラを振り回し続ける毎日。そして、カメラマンは「世界一ツバメを追える男(自称)」になったのでした。その貴重な昆虫捕食の瞬間は番組でたっぷりとご覧下さい。

ツバメは減っている!?

ツバメの取材中、行く先々でよく耳にしたのは「最近はツバメが減った」というお話。上越では数十年前までは、町を歩くのにツバメを手でよけながら歩いたというほどツバメが居たそうです。東京に暮らす私にとっては、今でも十分にたくさんいるように見えるのですが、かなり減っているんですね。環境省が数年前に行った調査では、ツバメの数はやはり全国的に減ってきているようです。なぜ減ったのか? その理由は良く分かっていません。繁殖地である日本の環境が変わったこと、越冬地の東南アジアの環境の変化などなど 様々な理由があるのでしょう。身近な生きものって、その異変になかなか気づきにくいもの。ツバメが、メダカやゲンゴロウのようにならないように願いたいものです。 毎年私たちのすぐそばで暮らすツバメ、やさしく見守っていきたいものです。