シリーズ スローライフ(2) カメレオン のらりくらり

第072回「シリーズ スローライフ(2) カメレオン のらりくらり」

2007/9/30(日)午後7時30分~

赤道直下、ケニア中央高地。標高2000メートルを越える寒冷な森には、全長30センチほどのジャクソンカメレオンが暮らします。頭から3本の長い角がにょっきりと突き出た、独特の風ぼうです。
ハンティングは一瞬の早業。わずか0.3秒の間に、全長と同じ30センチも伸びる舌を素早く出し入れして昆虫をつかまえてしまいます。ところが、すごいのはその必殺技だけ。普段の動きは極めつきのスローモーション。カメレオンは素早く動くことができないんです。メスへのアプローチ、オス同士の角を突き合わせてのけんか、すべてがゆっくり進んでいきます。ヘビに狙われたときも、素早く逃げることができないため、枝から落ちて身を隠します。
また、驚いたことに、メスは卵でなく「赤ちゃん」を産むんです。時には霜がおりることもあるという冷たい地面に、卵を産んでもかえらないからです。枝の上から次々と産み落とされた赤ちゃんは、初日から自分で狩りをして、たくましく生きていきます。
ゆっくりとしか動けない、という究極のハンデを背負いつつも、厳しい生存競争をしたたかに生き延びる、カメレオン。スローライフの達人なのです。

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取材こぼれ話

ケニア中央高地 編

アフリカ・ケニアの森に住む「巨大角」カメレオン

今回、番組でご紹介する「ジャクソンカメレオン」は、アフリカ、ケニアの標高2000メートルを超える肌寒い森に暮らしています。 最大の特徴は、なんと言っても「角」。鼻の先から1本、額から2本、合計3本の巨大角な角がにょっきりと突き出ています。なんともはや、奇妙なルックスなんです。

長い角は「無用の長物」!?

撮影を始めた私たちが、まず最初に感じたのが、「一体この角、なんの役に立っているの?」という疑問でした。 ジャクソンカメレオンの生活を見ていても、この角がまったく役に立っていないんです。 むしろ逆で、角が木の幹につっかえてしまって、好物のナメクジを口にできなかったり、枝をわたるときに間違えて自分の角を掴んでしまい、でも自分では枝を掴んだつもりになっているようで、「動けない!動けない!」とパニックになっていたり、 普段の生活では、この長い角が、文字通り「無用の長物」なんです。 ところがある日、遂に巨大角が大活躍する日がやってきました。一体この角が、どう活躍するのか、その模様は、番組でお楽しみください。

スクープ映像! 爬虫類なのに「赤ちゃんを出産!!」

今回、是非とも撮影したかったのが、カメレオンの「出産」でした。 カメレオンを含む殆どの爬虫類は、卵を産むのですが、ジャクソンカメレオンは卵ではなく、赤ちゃんを産むというのです。出産は早朝が多いという情報から、私たちは毎朝5時に起き出し、まだ暗いうちから現場入りする日々を送りました。しかし、私たちがあたりをつけていた妊娠メスはなかなか出産してくれません。忍耐の日々が続きました。そして、ロケ開始2週間後、ようやく赤ちゃん誕生のシーンをカメラに収めることができました。その様子はたっぷりと番組でご覧ください。

超ハード! 高地での撮影

今回のロケで最も足りなくて困ったもの、それは「酸素」でした。メインでロケを行った場所は、標高2500メートル付近、高いときは3000メートルを超えました。酸素は低地の20〜30%減です。機材を担いで歩くとすぐにハァハァゼィゼィ息が切れ、一旦心拍数が上がってしまうと、なかなか下がってくれません。その隣を、現地スタッフは涼しい顔をしてひょいひょいと歩いていきます。さすがは生まれつき高地トレーニングを積んできた人たちです。マラソンも速いはずだ、と大いに納得しました。

難航! ぬかるみの中の移動

ロケ期間は、乾季だったのですが、高い山の上は天候も不安定で、毎日のようにスコールが降りました。一旦雨が降ると、舗装されていない道路は泥沼となってしまいます。泥の道を走っているとすぐに車の後輪がズルッと滑ります。現地の運転手さんは慣れたもので、そんな中でも鼻歌など歌いながら運転しているのですが、たまには失敗もあります。 深い溝にはまり込んでしまうと、もう大変です。1時間以上、スタッフ全員で泥を掘り、車をジャッキで持ち上げ、車輪の下に岩を敷き、汗だくの作業となります。「どうか、今日はハマらないでくれ!」祈るような気持ちでロケ車に乗る毎日でした。

「ウサギとカメ・・・レオン」

ケニアにはカメレオンにまつわる昔話が色々あります。その中でも有名なのが、小学校の教科書にも載っている、ウサギとカメレオンの話です。 『昔々、森にウサギとカメレオンがすんでいました。二人はとてもいい友達でした。 ある日のこと、百獣の王ライオンが娘の誕生日パーティーを開き、最初に来たものには賞品をあげる、と言いました。 足の速いウサギは、がんばってライオンの家に走っていったのですが、カメレオンはウサギの尻尾に、気付かれないようにちゃっかりとつかまっていました。そして、ウサギがライオンの家につくと、ウサギより先に家の中に飛び込みました。 ウサギが疲れ果ててライオンの家に入っていくと、そこには既にカメレオンが座っていました。ウサギはなんでカメレオンがそんなに早くライオンの家に着いたのか、不審に思いつつも、一着の座をカメレオンに譲らざるを得ませんでした。 カメレオンはパーティーの後に賞品をもらい、それ以来、カメレオンとウサギは仲がとっても悪くなりました。』 このお話の中では、カメレオンはちょっとずる賢いキャラクターとして描かれています。 番組の中でも、このお話とはちょっと別の昔話をご紹介します。お楽しみに!

豪快!ケニアのグルメ「ニャマチョマ」

食欲旺盛なロケ隊の胃袋を支えたのは、現地の名物料理「ニャマチョマ」でした。ヤギの肉を炭火で焼いただけのシンプルな料理なのですが、これがべらぼうに美味しく、殆ど2日に1回くらいの割合で食べていました。ヤギの肉、と聞くと臭そうなイメージがあるかもしれませんが、全く臭みはありません。それどころか、牛の肉よりも美味しくい、実際に値段も牛肉より高いんです。 現地の人たちもこのニャマチョマが大好きで、大体一人1キロ、多い人では1.5キロくらい注文し、ペロリと平らげてしまいます。 元々、肉はとても貴重な食べもので、昔、ニャマチョマは特別な日にしか食べられない料理だったそうです。今でも、結婚式の時には、ケーキカットならぬ「ニャマチョマカット」が行われ、新郎新婦が焼いたヤギの前足を両側から持ち、一緒に真ん中をカットして、半分ずつ食べるそうです。今回、私たちのロケ車を運転してくれたドライバーさんも、結婚式の時に「ニャマチョマカット」したそうです。