銀の乱舞!キビナゴ大産卵

第015回「銀の乱舞!キビナゴ大産卵」

2006/7/23(日)午後7時30分~

四国南西部、太平洋の黒潮と豊後水道との交差点に位置する高知県の柏島。ここは何と日本に住む魚の3分の1、1千種類以上が見られます。毎年初夏、この島の沿岸にキビナゴが群れをなして押し寄せます。キビナゴは、大きさ10センチ程、イワシなどの仲間で、西日本では、食卓ではおなじみの魚。海の中では、数百万匹もの大集団で回遊しながらくらしています。群れはシマアジやカンパチなど大型の回遊魚に襲われると見事な団体行動で刻々と形をかえ敵を幻惑します。さらに銀色の体で光の反射をコントロールし、背景にとけ込んで敵の目をくらます技まで見せます。キビナゴが柏島にやって来るのは産卵のため。卵を食べてしまう生きものの少ない沿岸の砂地を産卵の場所に選んでいます。卵は粘着性があり潮の流れにも流されないようになっています。5月中旬がキビナゴ産卵の季節。島最大の砂地へ大群が集結し夜明け前から大産卵が始まります。するとタコやウツボなど様々な生きものもキビナゴを狙って集まってくるんです。産卵の興奮の中、次々と食べられてしまうキビナゴ達。しかし圧倒的な数を誇るキビナゴはそうした敵による犠牲を乗り越え産卵を続けます。2週間後、卵は孵化し、やがて親と同じ大海原へ乗り出していきます。番組では小さなキビナゴが大きな群れを作り、したたかに生き続ける姿を追いました。

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取材こぼれ話

柏島 編

キビナゴ産卵に関する情報源は漁師さんでした。 柏島の漁師さんは高齢者が多くキビナゴ漁を行っている人たちは僅か数人。この人達はキビナゴの集まってくる5月の初め頃から、夜明け前の岸近くの海で漁を行っていました。 この時期のキビナゴはシシャモのように「子持ちキビナゴ」として出荷されていたので、産卵の時期はすぐにわかりました。 さらに聞いてみるとキビナゴ漁が盛んだった最盛期には、毎日浜辺を観察していて、海岸線一体がオスの精子で真っ白になるのを産卵の目印にして、それを確認してから漁を行ったので確実に労なくして漁を行えたといいます。 どうして漁師さんが、海に潜らないのにキビナゴの産卵行動のパターンを知り、的確な場所に網を仕掛け漁を行うことが出来たのかが不思議でしたが、長年の観察からキビナゴの習性を知り尽くしていたのですね。 では、キビナゴの産卵は実際にはどのように行われるのだろうか?場所は限られた場所のみなのか?時間は夜明けだけなのか? そんなキビナゴの知られざる産卵行動を追及してみたくなりました。

夜明け前の大産卵を年頭において今回の取材はスタートしました。 まずは特定の産卵場選び、できれば撮影を行いやすい水深の浅いところで波や風の影響などが少ない海域を選びたかったのです。浅場の海底で産卵が行われるだろうということは、漁師さんの話からすぐに予想がつきました。 しかしどれくらいの規模で何時間位、そしてどれくらいの期間、産卵が行われるのかは分かりませんでした。早朝に繰り返し潜水を行うことはリスクが大きかったので、まずは昼間に既に卵が産み付けられている場所を、時間をかけくまなく探すことにしました。 その結果、わかったことは水深およそ10メートル前後、そして砂地の海底、この条件の場所に卵が産み付けられるということです。そして地元のガイドダイバーに頼んで、この条件に見合った場所を絞り込むことが出来ました。