モグラ びっくり地下生活!

第014回「モグラ びっくり地下生活!」

2006/7/16(日)午後7時30分~

真っ暗な地下の世界に生活の場を作り出したモグラ。誰でも名前は知っている身近な生きものですが、その暮らしぶりはこれまでほとんど撮影されたことがありませんでした。今回、取材班は日本各地の里山を舞台に、モグラの地下生活に密着。胃カメラのような特殊な撮影機材を駆使して、ビックリ仰天の意外な行動の数々の撮影に成功しました。100メートルにも及ぶ広大なトンネルを張り巡らして暮らすモグラ。そのトンネルには私たちの想像を超えた巧妙な仕掛けがあることを発見しました。地面の下で人知れず繰り広げられるモグラ同士のすさまじい戦い。巨大な前足を振り回しての連続平手打ち。モグラはいったい何のために戦うのでしょうか?さらに、田んぼを泳ぎ渡るモグラの姿もご紹介。前足を器用に使って、水泳選手並みの見事な泳ぎっぷりを初披露。地下に暮らすはずのモグラが泳ぐ、止むに止まれぬ事情とは? そして、これまで研究者ですら見たことがなかったモグラの子育ての様子も大公開します。特製のベビーベッドで甲斐甲斐しく赤ちゃんの面倒をみるモグラの姿は必見です。地底生活者モグラならではの巧みで奇妙な生活ぶりを、スクープ映像満載で描きます。これまでのモグラの常識が覆ること間違いなしですよ!

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取材こぼれ話

日本の里山(地下) 編

石の上にも3年。モグラの撮影には5年?

人間辛抱だ。
石の上にも三年、どこかで聞いたことのある台詞だけれど、ことモグラの撮影で、これほど時間を取られるとは当初考えもしませんでした。 モグラの撮影を始めてから試行錯誤の連続でしたが、当初お世話になった当時宮崎医大の土屋助教授の下にまずは駆けつけ、モグラのイロハから教えを頂きました。モグラは私の浅はかさをあざ笑うかのように、最初その姿すら見せてはくれませんでした。
モグラのトンネルがどこにあるのか? モグラがいつも使う場所はどこなのか? どんな場所が一番モグラにとって住みやすい場所なのか? どうやって子供を育てているのか? とにかく何もかもが分からないことだらけ。撮影開始から今回の番組が放送になるまで、実に5年もの歳月がかかったのです。

モグラは寝て待て

担当ディレクターの足立君と、家の近くで親指大の自作小型カメラ(通称「モグカム」)を実際のトンネルに埋め込み、なんとか自然状態でのモグラも取るために粘りました。二人交代で一日中モニターとにらめっこです。
このカメラには自動撮影装置も組み込んだのですが、実際使ってみると、トンネルの中でモグラの動きがとても素早く、収録機のたちあがりに誤差が生じてしまうので、二人で交代しながら、見張っていたのです。モグラが出てくるのを待ち続けます。一日中待ち続けます。待ちくたびれても待ち続けます。うららかな春の午後、ずーっと待ち続けると眠くなってしまうこともあります。でも待たなければなりません。それが我々の仕事です。必ず来るに違いない。トンネルの内側はきれいに磨かれ、モグラが使っていることを私は確信していました。伊達に5年も無駄飯食ってはいません。
しかし、いつまでたっても写るのは空のトンネルのみ。突然ヒミズが、そして、ハタネズミが、そして最後に待望のモグラがようやく姿を見せてくれたとき、私たちは小躍りして喜びました。モグラも腹が減っては戦はできないわけで、必ず姿を見せてくれると私は確信していました。

幻の子育てを追って

「飯島さん、ところで子育ては撮れるんでしょうね」。
鬼のような番組プロデューサーが番組化への条件としたのが、これまで研究者ですら観察したことがない「モグラの子育て」シーン。
この難題をなんとか映像にするため、京大名誉教授の相良先生と、苦労の子供探しの行脚がはじまったのです。関西一円を相良先生にご無理言って、何度も研究に同行させていただきました。しかし4〜5月に掛けていくつものモグラの巣を調べても子供は見つかりませんでした。
今年、関西も大分春めいたころ、私は相良先生に再度同行をお願いして、巣の観察撮影に伺いました。今度は秘密兵器の胃カメラのような内視鏡も持参しました。これだけやって駄目なら、もう子育てシーンは諦めざるをえない。私は覚悟を決めました。重い機材を抱え、ヒルがうようよいる山道を登り、やっと立っていられるような場所にその巣はありました。初日おそるおそるカメラを巣にいれてみましたが、モグラの巣は900〜1000枚の葉で作られているため、どこを探してもぎっしり詰まった葉しか見つかりませんでした。今年も駄目かな、不安がよぎりました。
もう1日やってみよう、私たちは最後のチャンスに掛けました。しかし何度カメラを差し込んでも見えるのは枯れた葉っぱのみ、夕方近くだったでしょうか、私のカメラマン生命が絶たれようとしたその時、かつて見た、親指大の赤裸の子供をモニターが映し出した。その時、私は本当に嬉しくなりました。思わず担当の足立君と握手を交わしてしまいました。巣の中での様子は番組内でじっくりごらん頂くこととして、その後も家族は無事育っていることをお知らせしておきます。

私は地中カメラマン

北海道を除く各地でごく普通に見られる、モグラ。しかしその本当の姿を見たことがある人は多くは無いでしょう。モグラ塚はあっても姿は見たことが無い人が殆どではないでしょうか?
しかし地面の中でけなげにも穴を掘り続け、また害虫を食べてくれるモグラに対して私たちはもう少し暖かい目を持って、みてやっても良いのではないでしょうか?
トンネルを枕に居眠りをするモグラ、スパゲッティーでも食べるようにミミズをほおばるモグラ。私はファインダーを通してそんな彼らの姿を追いかけ続けました、番組を通してそんな物言わぬモグラたちの代弁者になれれば、地中カメラマンとしての、私のささやかな願いは視聴者の皆さんに通じるものであります。
名前は良く知っていても、その姿を見たことのないモグラ、しかしそこには地底の勇者としての驚きの大自然が広がっていました。そんなモグラの姿を撮影できたことに、動物カメラマンならぬ“地中カメラマン"として、その誇りを今回ほど感じた機会はありませんでした。