密着!深海の巨大クジラ

第013回「密着!深海の巨大クジラ」

2006/7/2(日)午後7時30分~

クジラの仲間で唯一、深海を生活の場にしているマッコウクジラ。潜る深さは最大3千メートル、一生の2/3を深海で過ごすといわれています。その目的は、ダイオウイカをはじめとする巨大なイカを捕えるためです。マッコウクジラの特徴は、体の3分の1ほどもある大きな頭と、箸のように細長い口。これは深海でイカをはさみ込むことに特化した形です。そのため、他のクジラのように浅い海で小魚やエビなどをとることができません。マッコウクジラは潜らなければ生きていけない宿命なのです。
番組では小笠原の海で子育て中の家族の撮影に成功しました。小笠原の近海は、マッコウクジラが1年中観察できる世界でも数少ない場所です。天敵のシャチがほとんどおらず食べ物も豊富なので、子育て中の家族が通年住み着いているのです。家族は10頭ほどのメスばかりの母系家族で、とても仲良しで、いざというときには見事な団結力を発揮します。大人のクジラは40分ほどかけて千メートルの深海を往復し、海面で少し休むと再び深海へと向かいます。こんな潜水を一日に何度も繰り返しています。その間、まだ潜れない赤ちゃんクジラだけは一人ぼっちで水面でお留守番です。ときには赤ちゃんを狙ってサメがやってくることもありますが、家族全員で追い払います。
子クジラは、やがて母親をコーチに潜りの技を学び始めます。最初は息が続かず、すぐ浮上してしまう子供に、母親は意外な方法を使って潜水に慣れさせていました。
なかなか観察することが難しい深海クジラの素顔に迫ります。

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取材こぼれ話

小笠原諸島その2 編

巨大イカのライバルを探せ!

2006年4月の放送、幻の巨大イカ『ダイオウイカ』の番組、覚えていますか? 最大で18メートルもの記録もある巨大イカが世界で初めて撮影されたという内容でした。
(*ご存じない方は、ホームページの「これまでの放送」「取材ウラ日記」をご参照ください)
この巨大イカを深海で襲って食べる大型生物が、今回の主人公マッコウクジラです。

マッコウクジラも、ダイオウイカに負けず劣らずの謎だらけの動物です。 頭部の大きさは、体のなんと3分の1。なぜか「超頭でっかち」「3頭身」のクジラです。
潜る深さは最大3千メートル。哺乳類でダントツの素潜りチャンピオンです。 なんといっても、一生の3分の2の時間を真っ暗な深海の中で過ごしているんだそうです。

ですから、クジラの暮らしぶりは謎だらけ。撮影は一筋縄ではいきません。
撮影場所は、小笠原諸島・父島の港を出ておよそ1時間の沖合海域。ここで、自分たちの目と耳を最大限に使って、クジラ探しが始まります。
はるか遠くの水平線で「ぷしゅっ」と飛び出す潮吹きを双眼鏡で見つけたり、高性能の水中マイクを水中に沈めて、クジラが獲物を探すときに出す小さな音をヘッドフォンで聞き出したり…。太平洋まっただ中でマッコウクジラを探すのは、けっこうな経験とコツが必要なんです。

でも、船で一日中走り回っても、一頭のクジラにさえ出会えないこともしばしばです。
あれだけの巨大の動物となると、「ちょっとお散歩に」という感じで、父島からおよそ50キロ離れた隣の母島や聟島まですぐ出かけてしまうんです。
海が荒れるともう大変。水面がほんの少し波たてばクジラの出す音はたちまちかき消され、風が吹いて白波がたてば海の至るところがクジラの潮吹きに見えます。
さらにさらに、マッコウクジラは一度潜ると1時間近く潜りっぱなしです。なにせ一生の3分の2を深海で過ごしているんですから。「クジラ発見!」と喜ぶのもつかの間、潜ってしまうと、次にどこに顔を出すか全く見当がつかないんです。
クジラが気まぐれな性格かどうかはわかりませんが、ときに撮影スタッフをからかっているのはほぼ間違いなさそうです。

というわけで、「撮影」といっても炎天下の大海原をひたすらボートで走り回ることばかりの毎日。いつの間にか手足は日焼けで真っ黒、目の周りはサングラスの跡がくっきり、そして船酔いは延々に続くという感じなのです。

それでも幸運にも、クジラがカメラにぶつかるほど大接近してきたり、子育て中の仲良し家族、生まれたばかりの赤ちゃんクジラの撮影にも成功しました。
クジラの頭が大きなヒミツ、潜らなくちゃ生きていけないワケ、愛情たっぷりスパルタ特訓する親子の様子…。あなたの知らないマッコウクジラの姿を番組のなかでたっぷりとご紹介します。

マッコウクジラ撮影合宿

マッコウクジラの撮影は明るいうちが勝負です。暗くなってしまうと、クジラの目印の潮吹きが全く見えないからです。
ですから撮影は必然的に、日が昇る直前から始まり、日が暮れると終了。その間はずっ〜と暑い熱い海の上で船に揺られていることになります。

そんな生活が続いていると、困るのが「ご飯」と「洗濯」です。
沖合から島に戻る頃は、もうお店は閉店時間。買い出しのできない日々が続きます。日持ちするフランスパンやカップラーメンの昼ご飯ばかりでは、ハードな撮影に応えます。
毎日汗だくだくとなった衣類の洗濯は夜が更けてからです。スコールが多い島では、日中、外に干しっぱなしができません。乾いては大雨でびしょびしょ、また乾く頃には大雨…。

というわけで、一人暮らしの若者でしたらご想像がつくかもしれません。宿泊している民宿の部屋の中が、だんだんと『秘密基地』と化していくんです。
撮影機材と生活用品の隙間に、あちこちに洗濯ものがぶら下がり、買い込んだ非常食の山ができ、様々な撮影用のバッテリーが昼夜かまわずうぃんうぃん音をたてながら充電され続けます。初めてこの部屋に足を踏み入れた人は、必ず「何だ? この部屋は…!」と第一声。

ときに、研究機関の大型調査船に同乗させてもらって撮影を行ったこともありました。その時の食事は毎日がレストランのようでした。フランスパンをかじり続けた日々が報われた気がしました。(写真参照)

また、海が大荒れのときなど、島を離れられないときもあります。そんなとき、森のなかに突如クジラ(残念ながらザトウクジラ)を見つけたときには、相当びっくりしました。島のお店のオーナーが、自分の家の屋根をなんとクジラの形にしていたんです。(写真参照)

撮影が長く続くと、疲れやストレスのせいか、なぜかハイテンションになっていくことしばしばです。

つづく・・・!?

★第一弾 2004年4月の放送 「幻の巨大イカを見た! 」(ダイオウイカ)。
★第二弾 2006年7月の放送 「密着!深海の巨大クジラ 」(マッコウクジラ)。 と続けて、小笠原諸島を舞台にした番組を放送させて頂くことになりました。
ダイオウイカに関しては、動画での撮影を狙って継続取材を続けています。
パワーアップした小笠原諸島・第三弾の「放送」および「取材ウラ日記」をぜひお楽しみに!