世界一の巨大花 開花の瞬間!

第003回「世界一の巨大花 開花の瞬間!」

2006/4/23(日)午後7時30分~

インドネシア・スマトラ島のジャングルだけに咲くスマトラオオコンニャク。最大で高さ2.6メートル、直径も1.5メートルという世界最大の花です。しかも、7年に一度、わずか2日間だけしか咲かない幻の花でもあります。その開花の瞬間を、ハイビジョンカメラで初めて捉えることに成功しました。
花の存在が世界に知られたのは19世紀末。ロンドンのキュー植物園で初めて開花すると、人々は自分の背丈をはるかに上回る巨大さに大きな衝撃を受けました。そして花が出す、ある「とてつもない力」のために、見物客が気絶したと言われています。一体何が起こったんでしょうか?
1ヶ月以上にわたってジャングルをくまなく探索し、ついに巨大花のつぼみを発見。成長の様子を固定カメラで記録しました。1日10センチという驚異的な速度で急成長し、10日後、ついに開花のときを迎えました。
開花の瞬間、その巨体からもくもくと湯気が吹き出してきました。この湯気にこそ、人々を気絶させるほど強烈な「とてつもない力」が秘められていたのです!スマトラオオコンニャクは、大きさだけでなく、その強烈な力に関しても世界一の称号を与えられた、世にもまれな世界二冠王の花だったのです。

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取材こぼれ話

スマトラ島 編

世界2冠王の花

「スマトラ島に、人の背丈を超える花がある!」知人のカメラマンから、初めてこの話を聞いたとき、最初はそれほど強く心を惹かれることはありませんでした。大きいと言っても、相手は動かぬ花だし、オドロキも一瞬で終わってしまうなら、テレビ番組で取り上げるのは難しいだろうと思ったからです。でも、百聞は一見にしかず。巨大花の絵を見せてもらった瞬間、ググッと来ました。それは、第二次大戦中に出版された『南の植物』という本の挿絵です。ヘルメットをかぶった日本兵の横に、人を食ってしまうかというほど大きな花の絵が描かれていました。カメラマン氏が、少年の頃にその絵を見て以来、巨大花の虜になった、というのも頷ける、実に妖しい光景で。
さらに調べていくうちに、もっと興味深いことが色々分かってきました。決定的だったのは、この花が2つの「世界一」の記録を持っているという事実でした。巨大花スマトラオオコンニャクは、直径1.5m、高さ3mに達します。一つめの「世界一」は当然、「世界最大の花」です。そして、もう一つの「世界一」は、花が咲いた瞬間にだけ発揮される特別な力だというのです。そう言われれば、なんとしても開花の瞬間に立ち会い、実際にその「世界一」体験してみたくなるのがディレクターのサガというものです。かくして、世界2冠王の花を求める無謀な?旅が始まったのです。

そして、世界一を体感!

いざ、スマトラへ。成田からジャカルタを経由し、2日がかりでようやく到着です。今回、取材のベースキャンプとなったのは、スマトラ島南西部のある村。さっそく森へ探索に行くため、自動車で町を通り過ぎようとしたとき、なんと、町のど真ん中に、目指す巨大花が咲いているではありませんか!!・・・車を降りてよく見ると、それは巨大花を模したオブジェだったのです。さすが、世界記録を持つ巨大花、まるで地元のヒーローです。

これほど有名ならば、すぐ見つかると思ったのも束の間、壁にぶつかりました。巨大花は、地元の人にとって、名前は知っていても見たことのある人はほとんどいない「幻の花」だったのです。その理由は次第に分かってきました。相手は絶滅が心配されているほど数が少ないうえに、7年に一度、わずか2日間だけしか咲かないのです。「ほんとうに見つかるのだろうか?」・・・不安と戦う日々が続きました。

悪戦苦闘の末、ようやく目指す巨大なつぼみが見つかりました。そして、開花の瞬間、目の前に現れた光景は、それまでの苦労をすべて吹き飛ばすほど、妖しく、美しく、衝撃的だったのです。巨大花が持つ2つの「世界一」を身をもって体験できたことは、私の生涯の思い出になるでしょう。

さらに、もう一つの世界一

さて、みなさんの中には「世界最大の花」と言えば、「ラフレシア」という名前を思い浮かべる方も多いかもしれません。実際、ラフレシアも世界最大の花であることに間違いはありません。ラフレシアにも何種類かあり、正確には、ラフレシア・アーノルディという種類が、直径1メートル近い世界最大の花を咲かせます。ではスマトラオオコンニャクとラフレシア、なぜ2つの「世界最大」があるのかご説明します。実は、ラフレシアは「単独の花」として、スマトラオオコンニャクは「花の集まり」として、それぞれ世界最大なのです。一見すると一つの巨大な花のようなスマトラオオコンニャクですが、実は、多数の雄花・雌花が集まった「花序」と呼ばれる花の集合体です。直径1.5m、高さ3mという怪物のような大きさは、集合体だからこそのサイズなのです。

そんな「世界一」の花がいくつも咲いているスマトラ島の熱帯雨林、まさに、世界に一つだけの、かけがえのない自然なのです。